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もう1つのKAL機事件 機体ごと拉致、戻らぬ被害者

2009.3.16 20:57 産経新聞

 大韓航空(KAL)機事件といえば、金賢姫・元北朝鮮工作員らによって爆破された1987年の事件が知られるが、韓国には40年前に起きたもう1つのKAL機事件がある。北工作員がKAL機(国内線)をハイジャックし、乗員、乗客を機体ごと北に拉致した事件だ。今も韓国に帰還できずにいる拉致被害者。家族は救出を強く訴えている。

 乗っ取られた旅客機には韓国のテレビ局プロデューサー、黄源さん=当時(32)=も乗客として乗っていた。北に拉致されままの黄さんは今も生死すら確認されていない。

 黄さんの息子で当時まだ2歳だった、「KAL機拉致被害者家族会」の黄仁●(=轍の車をさんずいに)代表(41)は「事件は忘れられ、韓国政府も無視してきた。日本がうらやましい。日本政府は拉致問題を北に公式に提起し、国民も拉致問題に関心を持ち、家族たちの救出活動を支援している」と語る。

 黄代表が事件後に帰還した乗客らから聞いた話では、北では拉致直後に思想教育を受けたが、黄さんは「共産主義は間違っている」と話を聞かなかった。北の教官が激怒し黄さんを隔離したという。拉致から約2週間後の70年1月1日に乗客らが会食したとき、黄さんも姿を見せた。故郷をしのぶ歌を皆で歌ったところ、教官が突然黄さんだけを連れ去ったという。

 韓国には北朝鮮による拉致被害者が500人近くいるが、拉致問題への関心は薄い。拉致被害者が北の工作員になっている可能性もあり、軍事政権下では被害者家族は監視対象だった。家族は、身内が拉致された事実を隠し、声をあげることさえできなかった。

 黄代表は小学3年のとき、父親の拉致を知った。友人たちの間でうわさが広まり、「スパイの息子」とからかわれた。経済的にも苦しく、借金から逃れるため引っ越しを繰り返した。夫を拉致された母親(71)は「誰かに息子を連れて行かれる」と被害妄想を持つようになり、精神に異常をきたし数年前から入院中という。

 金大中、盧武鉉両政権下で拉致被害者家族らが救出活動に乗り出したが、北に融和的な当時の政権は、拉致を「存在もしない問題」と突っぱねる北朝鮮側に配慮し及び腰で、拉致問題は全く進展しなかった。

 92年ごろになり、韓国の情報機関、国家安全企画部(現・国家情報院)から父親の消息が伝えられた。韓国に自首した元北工作員から「お父さんは86年当時、北の対南放送『救国の声』で放送の仕事をしていた」と聞かされたが、公式に生死は確認されていない。

 南北関係は現在、悪化しており、北に強硬な李明博政権下ですら拉致問題解決の糸口は見つかっていない。「父親は韓国に忠誠を尽くしたのに国家が国民を見捨てている。国民として辛い」と黄代表。事件から40年の今年、日本など世界のメディアにも韓国人拉致被害者の救出を訴えていく計画だという。(ソウル 水沼啓子)

 ■大韓航空機拉致事件 1969年12月11日、乗客46人、乗員4人を乗せた韓国・江陵発ソウル行き大韓航空機が、乗客を装った北朝鮮の工作員に乗っ取られ、北朝鮮・元山近郊の宣徳飛行場に強制着陸させられた。平壌放送は操縦士2人によって自主的に北に入国したと発表。韓国側は機体と乗客らの送還を求めたが、北は拒否した。国際的な非難が強まり、北は66日ぶりに乗客39人を送還。操縦士ら11人は現在も北に拉致されたまま。乗員4人の生存は確認されたが乗客7人の生死は不明。

by yupukeccha | 2009-03-16 20:57 | アジア・大洋州