全日空、米ボーイングに「787」の早期納入迫る
2010/11/29 14:00 日本経済新聞(2010年11月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
全日本空輸は、米ボーイングに発注している最新航空機B787の度重なる納入延期について「大変遺憾だ」と述べ、同社への圧力を強める姿勢を改めて示した。
度重なる納入延期、今度はエンジントラブル
売上高で国内第2位の全日空の伊東信一郎社長は、今月起きたB787の試験飛行中の出火の正確な原因はなお不明であり、ボーイングに対し今回のトラブルが再度の納入延期につながるのか明確にするよう迫っていることを明らかにした。
伊東社長はロンドンでフィナンシャル・タイムズ紙の取材に対し、「我々はボーイングに今回の不具合の詳細な原因と納入時期を速やかに提示するよう迫っている」と話した。
伊東社長によると、全日空はB787型55機を発注しているが、初回納入分の期限は2年以上前に過ぎ、度重なる納入延期により旅客機の引退計画の見直しや旅客機不足を補うための手段を余儀なくされていると言う。
「B787は夢の旅客機」「発注への後悔ない」
ボーイングは8月、エンジン供給上の問題で全日空へのB787の納入時期を数週間延ばし、2011年第1四半期(1~3月期)半ばにするとしていた。
多くのアナリストは今回の出火により納入時期が一段と遅れるとみているが、ボーイングは延期を発表していない。
B787は軽量の炭素繊維複合材を機体に採用したことで低燃費を実現し、同社がこれまで製造した旅客機の中で最速の売れ行きを誇っている。
伊東社長は全日空がB787の顧客第1号であることを誇りに思うと述べ、発注への後悔はないと語った。
同社長は「B787は夢の旅客機だ」とした上で、「納入延期は大変遺憾だが、優れた旅客機を保有することが我々の最優先課題だ」と強調した。
業績上方修正「予想を上回っている」
これとは別に伊東社長は、全日空の今期の業績について楽観的な見通しを示した。同社は今期の純利益予想を50億円(5950万ドル)から60億円(7140万ドル)に上方修正しており、業績はこの2年間の最終赤字から回復基調にある。
伊東社長は「60億円は最低目標だ」と述べ、同社の最近の業績は「予想を上回っている」と付け加えた。
国内首位の日本航空が今年1月に経営破綻して以来、伊東社長は日本航空への巨額の公的資金注入が全日空に及ぼす影響に懸念を示してきたが、同社の業績は回復基調にある。
伊東社長は、業績回復は日本航空の運航縮小により全日空の市場シェアが高まったためで、両社の運航規模は「ほぼ同じ」になったと話す。
by yupukeccha | 2010-11-29 14:00 | 経済・企業