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足利乳児骨折初公判 「幸福な親子に嫉妬」

8月9日20時22分配信 産経新聞

■不可解な事件の背景には…

 なぜ生後間もない乳児を…? 栃木県足利市で発生した連続乳児骨折事件で、傷害の罪に問われた同市若草町、無職、五月女裕子被告(29)の初公判が9日、宇都宮地裁足利支部(宮崎寧子裁判官)で開かれた。不可解な事件の犯行動機を知ろうと、法廷には大勢の報道陣や市民らがつめかけた。

 午後1時35分。五月女被告は黒と灰色のボーダーシャツに黒い七分丈ズボン、サンダル履きというラフな格好で入廷した。

 48席の傍聴席を埋め尽くした人の数に驚いたのか、一瞬目を大きく開いた。すぐに、うっすらと笑みを浮かべながら被告人席につく。名前や住所を問う裁判官の質問にも、早口ながらハッキリと答えた。

 起訴内容を認めた被告に対し、検察官が冒頭陳述を始めた。

 「被告は子どもをたくさん産んで、夫婦と子どもで幸せな生活を送るのが夢だったが、現実には、離婚して子どもも一人だけの母子家庭だった」

 五月女被告は高校を卒業後、調理師の専門学校に通い、アルバイトなどをしていた。その後、結婚。娘をもうけたが、平成19年に離婚した。犯行時は両親と娘の4人暮らしだった。

 「幸福そうにしている親子を見るとうらやましいという気持ちを抱き、その家庭に嫉妬(しっと)心を持つようになった」

 検察側は、子どもがたくさんいる家庭に対する嫉妬心が募り、今年2月ごろから、乳児を抱かせてもらい、母親の目を盗んで乳児をつねったりするようになったことを指摘した。

 この日、審理された事件は5月26日に2カ月と3カ月の乳児の足の骨を折ったという2件の犯行。子ども用品店で、親子連れを見かけた五月女被告は母親に声をかけ、母親の年齢や家族構成を聞き出したという。検察側は続いて、声をかけた被告が犯行を決意するまでの心情を説明した。

 「被害男児のほかにも子どもがいると聞き、うらやましくなり犯行を決意…」

 もう1件の犯行についても、こう続けた。

 「母親が被告よりも年下なのに、子どもが2人もいることを知り、経済的余裕があると思い、うらやましい気持ちや嫉妬心を強くし、犯行を決意…」

 検察側は「子どもが多い方がいいと思っていた被告は見栄(みえ)を張り、女の子が年子で6人いると言った」と述べた。被告が子どもが多いことへの強い執着心を示した。

 不可解な犯行動機の一端が垣間見えた初公判だったが、自身の子どもも五月女被告に抱っこされたという足利市内の主婦(28)は「娘を持つ人がどうしてあんなことをするのか?」などと、依然として納得できない様子だった。

 首藤逸雄弁護士は閉廷後、記者団に対し「離婚が犯行の直接的な原因ではない。色々な要因が積み上がり(被告が乳児への暴行を始めた)2月ごろに、被告に決定的な出来事があったのではないか」と語る。そして、被告は犯行当時、心神耗弱状態だったとして、精神鑑定を請求する方針を明らかにした。

 検察側はすでに別の乳児骨折事件でも五月女被告を起訴しており、8月下旬には、さらにもう1件を起訴する予定だ。本格的な審理はその後だが、被害者家族や市民が納得のいく動機は明らかになるのか。第2回公判は9月29日に予定されている。

by yupukeccha | 2010-08-09 20:22 | 荒む社会  

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