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<タイ>上院議長の仲介申し出を政府側拒否 形勢有利と判断

5月18日20時18分配信 毎日新聞

 【バンコク西尾英之】300人以上が死傷した、タイの首都バンコクで続く軍とタクシン元首相派「反独裁民主戦線」(UDD)の衝突で、国際社会やタイ国内に「話し合い解決」を求める声が強まっている。同国上院議長は17日、政府とUDDの協議を仲介すると表明し、UDDは18日、議長仲介を受け入れる姿勢を示した。しかし政府側は、治安維持責任者のステープ副首相が18日朝、「停戦要求」を「ナンセンスだ」と一蹴(いっしゅう)するなど、強硬姿勢を崩していない。

 UDDは「これ以上犠牲者を増やさないため」として、政府に「軍による攻撃の停止」を要求。軍が占拠地域周辺から撤退すれば、都心部からの撤退へ向けた政府との再協議に応じるとしている。一方、政府は「UDDの占拠解除が先」と強調。上院議長による仲介についてもUDDが占拠を続ける限り受け入れないと発表した。

 軍の占拠地域封鎖などの激しい圧力で、UDDは占拠継続が困難になりつつある模様だ。これに対し政府の強硬姿勢の背景には、一度は「5月10日占拠解除」で合意しながら、強硬派幹部の抵抗でこれを果たせなかったUDDの「敵失」に乗じて、徹底的にUDDをたたいておきたいとの意向も見え隠れする。

 もともとアピシット首相が打ち出した「11月14日総選挙実施」との政治的解決策は、軍が強制排除に消極姿勢を崩さなかったため首相が、渋々提案したものだ。総選挙が実施されればタクシン派が優勢との見方が強く、反タクシンの現政権にとっては総選挙実施を約束する話し合い解決は、政治的敗北となる。

 だが、UDDを「テロリスト」として排除する立場を強調する政府に対し、米国や欧州連合(EU)は、双方に暴力の自粛を強く求める。国連のピレイ人権高等弁務官も17日、双方の話し合い以外に事態打開の道はないと強調する声明を発表した。

 13日以降の衝突による死者は、狙撃されたタクシン派過激派のカティヤ陸軍少将と、17日死亡した兵士1人を除く36人が民間人。UDDも一部が爆発物などを発射しているのは間違いないが、国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は18日、「兵士は武器を持たない民間人に実弾を発砲している」と、政府を強く非難する声明を発表した。

 バンコク都心部では18日も占拠地域周辺で軍とUDDの衝突が続き、治安改善のめどは立っていない。政府は同日まで適用していたバンコクの臨時休日を、21日まで延長すると発表した。

by yupukeccha | 2010-05-18 20:18 | アジア・大洋州  

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