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<バンクーバー五輪>「個」強化だけでは限界…大会総括

3月1日21時57分配信 毎日新聞

 日本代表選手団が獲得したメダルは銀3、銅2の計5個。06年トリノ五輪の金1個から大幅に増え、入賞も21から26に伸びた。ただし今大会の金メダルはゼロ。橋本聖子選手団長が目安とした「98年長野五輪のメダル10個」にも遠く及ばなかった。

 バンクーバーの結果から、ある傾向がうかがえる。メダルの内訳はスピードスケートが3個、フィギュアスケートが2個。スピードスケート女子団体追い抜きを除けば、「チーム」ではなく「個」の力で強化を進めてきた種目だった。

 浅田真央(中京大)が銀、高橋大輔(関大大学院)が銅を獲得し、出場選手全員が入賞したフィギュアスケートは、選手個々がそれぞれのコーチの下で練習する。スピードスケート男子五百メートルで表彰台に立った長島圭一郎と加藤条治は、国内屈指の名門「日本電産サンキョー」に所属。チームが持つ豊富なノウハウと、精密機械メーカーの技術を生かしてスケート靴の刃を1000分の1ミリ単位で調節するなど、独自の強化策が実を結んだ。

 今大会では韓国が14個、中国が11個のメダルを獲得し、「アジア勢の躍進」と話題を呼んだ。両国は国からの潤沢な選手強化費など、国家主導的な強化策を取っているとされる。

 日本オリンピック委員会(JOC)によると、08年北京五輪以前の1年間に各国が投じた選手強化費(夏季スポーツを含む)は▽ドイツ274億円▽米国165億円▽英国120億円▽中国120億円--。日本は27億円だった。橋本選手団長は28日の総括会見で「スポーツの重要性を国が分かってくれるか。国の力を頂いて(関係団体が)連携を図ることが競技力向上につながる」と、財政面を含めた支援の必要性を訴えた。全体の底上げを図るなら、「個」の力に頼っていられないのは明らかだ。

 ◇「代表」意識に疑問符…服装の乱れ、ソリ競技失格

 一方、今大会の日本選手団には競技以前の問題も相次いだ。

 スノーボード男子ハーフパイプ代表の国母和宏(東海大)の、公式服装着用時の乱れなどについては、世論を巻き込む論争を巻き起こした。そり系競技では、用具の管理不備など単純ミスにより、リュージュとスケルトンで日本の2選手が失格した。

 JOCは、国母に関する問題でスノーボードチームの監督らに注意を与え、そり競技の失格問題では選手団各チームの監督らに、橋本団長名で文書を送付して用具管理の徹底などをうながした。いずれも異例の措置だ。

 今大会は、JOCが冬季五輪で初めて「チームジャパン」を強く打ち出して臨んだ大会だった。昨年5月と6月には、初の試みとして五輪代表候補が全競技から参加する国内合同合宿を実施した。しかし、文字通り「スタートラインに立つ」以前の問題が続出。果たして、選手たちに「日本代表」という意識を徹底することができていたのか、課題を残した。【栗林創造】

by yupukeccha | 2010-03-01 21:57 | スポーツ  

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