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プリウス改修、戸惑う販売 トヨタ、日米で30万台

2月6日8時15分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

 トヨタ自動車は、ハイブリッド車(HV)「新型プリウス」のブレーキに不具合があるとされる問題で、日米で大規模な改修に乗り出す。対象は日米合わせて約30万台に達する。監督官庁である国土交通省や米運輸省と協議に入る。プリウスは、国内のトヨタ4系列の販売チャンネルすべてで売るなど、“オールトヨタ”で注力してきた基幹車種。しかし、不具合問題が浮上したことで、販売現場には混乱が広がり始めた。

 豊田章男社長が5日夜、名古屋市内で記者会見。プリウス問題をはじめ、米国などで大規模リコールに発展したアクセルペダルの不具合の件など、世界を騒がせている一連の品質問題について対応を説明した。

 ただ、プリウス問題は、トヨタの想定を超えて波紋を広げている。東京都内のある販売店では、問い合わせの電話がひっきりなしにかかってくるため、10人前後の営業マンが全員、店で待機。説明に追われた。

 「長年付き合いのあるお客さまからは『信頼している』と激励されたが、中には、予定されていた登録を、少し先延ばししてほしいという要望もあった」と販売店関係者は語る。

 ■通期の世界販売 達成不透明に

 トヨタ本体からは具体的な対応の指示が来ておらず、現場で臨機応変に対応せざるをえないという。

 新型プリウスは昨年5月に発売されたHVで、ガソリン1リットル=38キロという高い燃費性能と日本では205万円からという低価格戦略が人気を呼び、爆発的に売れた。日米合わせて今年1月末時点の累計販売台数は約30万台。

 トヨタは車両に欠陥はないとの立場だが、対応が後手に回っているとの批判が高まっているため、踏み込んだ措置を取るべきだと判断した。

 この問題について、トヨタは、急ブレーキ時に横滑りなどを防ぐ「アンチロックブレーキシステム(ABS)」の電子制御が原因としている。同様のブレーキシステムは、昨年後半に投入したHV「SAI」「レクサスHS250h」にも採用されており、これら2車種も改修の必要性を調査する。

 エコカー戦略のシンボルであるプリウスの信頼が低下すれば、トヨタのブランド価値も大きく棄損されることは必至。信頼回復へ向けたトヨタの取り組みは、正念場を迎えている。

 米国では4日(現地時間)、問題となっているプリウスや、リコールが決まっている車種とは異なる高級車ブランド「レクサス」やピックアップトラックの「タコマ」、セダンの「カムリ」に関し、「走行中に急加速する」といった新たな苦情も寄せられていることがわかった。

 トヨタは今月10日、米国で開かれる下院の公聴会に経営陣が出席し、一連の問題の経緯を説明する。しかし、トヨタの対応が後手に回っていることに批判が集まっており、公聴会でトヨタの説明が納得できないと判断されれば、米国側はさらに態度を硬化させる可能性もある。

 自動車業界に詳しいアナリストは「個別の事象の説明だけなく、品質管理の手法や仕組みをトヨタがどう変えていくのか、広く示していくことが顧客離れを防ぐ唯一の方法だ」と指摘する。

 今後、安全性への懸念から販売が落ち込む可能性は高く、トヨタが示した通期の世界販売見通し718万台が達成できるかも黄信号がともる。

 また、通期の連結業績予想を800億円の最終黒字としたものの、減益要因として織りこんでいるのは、アクセルペダルのリコール関連費用など合計1700億~1800億円のみ。プリウス問題の影響を織り込んでいないうえ、さらに影響が広がれば、今期の業績が予想通りのレベルまで達するのか、来期以降も回復基調を保てるのかなどが、まったく不透明になってくる。

 業績回復の明かりが見えてきた矢先に未曾有の苦境に直面したトヨタ。販売台数世界一で手にした“王者”の座を守り抜くことができるか。世界中の注目が集まっている。(山口暢彦)

by yupukeccha | 2010-02-06 08:15 | 経済・企業  

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