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グーグルへのサイバー攻撃、セキュリティ業界に追い風か

1月14日13時33分配信 ロイター

 [ボストン 13日 ロイター] 米グーグル<GOOG.O>が中国からの撤退を検討する一因となったサイバー攻撃は、コンピューターのセキュリティ対策の重要性をあらためて企業や個人に喚起し、マカフィー<MFE.N>やシマンテック<SYMC.O>、トレンドマイクロ<4704.T>といったセキュリティソフト会社への追い風となるかもしれない。 

 専門家によると、ハッカーは頻繁に企業への攻撃を仕掛けているが、企業側はイメージが損なわれたり、さらなる攻撃が助長されることを恐れ、実態をほとんど公開していないという。

 調査コンサルティング会社ITICのアナリスト、ローラ・ディディオ氏は「もしグーグルがハッキングされるのであれば、誰にでも起こり得る」と話す。

 グーグルは12日、中国で昨年12月中旬に「高度に洗練された」組織的なサイバー攻撃を受け、その結果、知的財産を盗み取られたと発表した。

 同社による調査の結果、少なくとも20社に上る大企業が同様の攻撃を受けていたことも判明。被害企業の業態は、ITのほか、金融、テクノロジー、メディアなど多岐にわたるという。

 またグーグルは、今回のハッキングの狙いが、同社の電子メールサービス「Gmail(ジーメール)」内にある中国人人権活動家のアカウントに侵入することだったという見方を示した。ハッカーは、中国での人権運動を支持する米国や欧州、中国のGmailユーザー数十人のアカウントに、繰り返しアクセスしようとしたという。

 グーグルは、中国当局によるインターネット検索への検閲をこれ以上容認できないとして、中国事業からの撤退も検討している。

 <セキュリティ企業には追い風>

 国際セキュリティ会議「ブラックハット」やハッカーカンファレンス「DEFCON」の主催者で、米国土安全保障諮問委員会の委員でもあるジェフ・モス氏は、「『セキュリティを強化する必要がある』と訴える企業のIT担当者に対し、幹部が返すのは『その費用が正当かどうか説明しろ』という言葉」と語る。

 グーグルはハッキング攻撃の発表に合わせ、ウィルス対策関連業界に対し、無料の広告機会を提供すると明らかにした。同社は公式ブログで、コンピューター利用者が信頼できるウィルス対策ソフトを利用するよう訴えている。

 今回のグーグルへの攻撃を受けて、ウォール街のアナリストは、セキュリティサービスを提供する企業の株価が、ほかのIT関連銘柄をアウトパフォームするという見方を示す。

 昨年に「Koobface」と呼ばれるウィルスの被害を受けた米ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)大手のフェースブックも12日、約3億5000万人のユーザーがマカフィーのセキュリティソフトを6カ月無料で試用できるサービスを発表し、ユーザー保護のサービスに力を入れ始めた。

 調査会社IDCによると、昨年のセキュリティソフト販売は、IT関連支出が全体的に落ち込む中、前年比4%増の154億ドルに上ったとしている。

 FBRキャピタル・マーケッツのアナリスト、ダニエル・アイブス氏は「シマンテックやマカフィーは、企業や個人を守るという点でバットマンやスーパーマンのようなもの。グーグルの一件で、問題がさらに注目される」とみる。

 また、ジェフリーズのアナリスト、キャサリン・エグバート氏は、セキュリティ関連支出の増加による恩恵は、シマンテック、マカフィー、トレンドマイクロの3大ソフト会社だけでなく、チェック・ポイント<CHKP.O>、ソニックウォール<SNWL.O>、ウェブセンス<WBSN.O>などにも及ぶだろうと話している。

by yupukeccha | 2010-01-14 13:33 | 社会  

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