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中国 出入国制限・厳しい監視  人権活動家に国境の壁厚く

2009年11月25日 東京新聞

 国家の安全を脅かすという理由で、中国政府は人権活動家らの出入国を厳しく制限、監視している。先月にも香港の人権活動家が北京空港で入国を拒否され、強制的に送還された。入国できない中国人の活動家は香港で少なくとも四十人以上いるとみられる。活動家らは香港政府に嘆願するとともに、中国政府に対し法的手段も辞さない構えだ。

 女性団体「婦女参政網路」の劉家儀主席(36)は十月二十六日、北京空港での入国手続きで、出入国の係官に査証にあたる「回郷証(中国本土に原籍を持つ華人を対象とした帰郷ビザ)」を没収された上、入国を拒否された。

 劉氏は議員秘書などを務めた後、一九八九年の天安門事件で犠牲になった学生たちの母親らで組織する「天安門の母運動」に共鳴し、香港で人権活動を展開している。今回の訪問は、北京大学に二〇〇一~〇四年まで留学していた経緯を背景に、友人などと会う私的目的だったという。

 入国拒否の措置に劉氏は「今年は天安門から二十年で建国六十周年の敏感な年」と理解は示しつつ、「なぜ回郷証の没収までしなくてはいけないのか。一国二制度の香港にいるのに」と批判。「国に帰ることは国民である私の権利。帰国させない権利は共産党にない」と憤る。

 劉氏らは、回郷証の更新を拒まれるケースも相次いでいると指摘。「同じ境遇の人たちを募って香港政府に訴えかけ、中国政府と交渉するよう働き掛けたい」と、署名活動を行っている。

 香港の人権団体は、今回の措置を、国連の「公民の権利および政治権利国際公約」に違反していると批判。北京で人権活動家の弁護をする莫少平弁護士は「香港では中国本土の法律は適用されないが、中国の出入境管理法は香港人はもとより外国人も適用される。今回の中国政府の入境拒否自体は違法ではない」と指摘。しかし「公安の説明が法違反を構成できるかが重要。人権活動家が当局と違う声を上げたからといって、違法というのは間違っている」と話した。(香港で、安藤淳)

◆『ネット人権宣言』で? 作家渡米阻止

 中国の人権活動家らが、当局によって出入国を拒否されるケースは少なくない。

 ネット上の言論の自由をうたった「インターネット人権宣言」を十月に発表した北京の作家凌滄洲氏は今月上旬、北京空港から渡米しようとしたが出国を認められなかった。出入境管理法の「国家の安全に重大な損失を与えるおそれがある」との規定を突きつけられたという。

 凌氏は、天安門事件後に海外亡命した中国の民主活動家らによる詩集出版発表会に出席する予定だった。出国検査の際に別室で約二時間、渡航目的などを聴かれた末、強制的に自宅に帰されたという。

 凌氏は中央テレビの放送内容を「共産党の宣伝にすぎない」として視聴ボイコット宣言したことで知られるが、「当局への過激な批判はしていない」と強調。渡航予定日直前に地元の公安当局に呼び出されネット人権宣言に関して聴取されたことを明かし、「今後の身の安全が心配だ」と話した。

 さらに、天安門事件二十年に合わせて来日した上海の人権活動家馮正虎氏は今年六月以降、八回にわたり帰国を拒否されている。今月四日に成田空港に強制的に送り帰されてからは入国手続き前の制限エリアで約二十日間にわたって寝泊まりし、中国への抗議の姿勢を示している。(北京・朝田憲祐)

by yupukeccha | 2009-11-25 06:00 | 社会  

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