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“広島・長崎”五輪招致に重大疑問

2009/10/16 10:00 日刊ゲンダイ

●オバマ大統領ノーベル賞の便乗商法?

 東京都の落選が決まった途端、広島・長崎両市が五輪招致に名乗りを上げた。秋葉忠利広島市長と田上富久長崎市長は会見で、「核兵器のない世界の実現祈念として、平和の祭典の五輪開催は意義がある」と意欲的だったが、オバマ大統領のノーベル平和賞の直後に、“便乗商法”のようにいきなり出てきた話だけに違和感がある。

 オリンピック憲章は一国内の候補都市はひとつに絞るよう定めており、共催計画が認められるのかも不明。加えて東京と同様、2016年招致に失敗したシカゴのように避けて通れないのが「カネ」の問題なのだ。

「広島市は09年度当初予算で市債残高が9650億円にも達し、基金を75億円も取り崩したビンボー自治体。法人税収は前年度比2割減と過去2番目の落ち込みで、生活保護費の受給世帯は10年前の2倍の1万2000世帯(317億円)にも膨らんでいる。一方、長崎市も地方債残高が2300億円に上り、一般会計予算(1970億円)を上回る。市民病院整備などの課題も山積していて、他に予算を回す余裕はありません」(経済誌記者)

 財布がカラッポなのは、県も同じ。09年度当初予算で初めて県債残高が2兆円を突破した広島県は、94年の「広島アジア大会」や96年の「ひろしま国体」の施設整備の借金返済でニッチもサッチもいかなくなっている。有岡宏副知事は「県も関わることになるだろう」と平静を装っていたが、内心ヒヤヒヤだったに違いない。

「98年に冬季五輪を開いた長野市は10年以上経った今も、施設整備の借金や維持・改修費に苦しんでいます。例えばボブスレー・リュージュの会場となった『スパイラル』は年間維持費が2億円なのに対し、収入はたった600万円。ほかにもスピードスケート会場の『エムウエーブ』など主要6施設の年間赤字額は8億円にも上り、市財政を圧迫しています」(長野市在住ジャーナリスト)

 招致や大会運営だけでなく、開催後も莫大なカネがかかる。これが「平和の祭典」の現実なのだ。スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏もこう言う。

「広島、長崎両市長は、五輪の現実を知らなすぎる。思い付きの発想に見えます。16日間で兆単位のカネがかかる五輪以外にやるべき行政課題はたくさんあるでしょう。本来なら費用負担などの問題を住民に公開した上で、招致の是非を問うのが筋だと思います」

 やるんだったら、民間企業の寄付を募り、中国地方の複数都市に施設を分散させるなどの工夫がいる。もちろん、広島、長崎が新幹線で結ばれているのも前提だ。そこまでの“ヤル気”と“覚悟”がないのなら手を挙げるのはやめた方がいい。

by yupukeccha | 2009-10-16 10:00 | 行政・公務員  

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