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社説2 羽田を日本の表玄関に(10/14)

2009年10月14日 日本経済新聞

 前原誠司国土交通相が羽田空港を24時間使える国際的なハブ(拠点)空港にする方針を表明した。都心から近く、乗り換えに便利な羽田空港の国際化は、乗客の利便向上や観光立国の実現に不可欠の課題であり、私たちも新方針を支持したい。

 首都圏の空港は設備拡張が需要に追いつかない需給逼迫(ひっぱく)状態が続き、国際便は成田、国内便は羽田という「内外分離」を原則としてきた。だが、来年度には羽田の第4滑走路が完成するなど発着枠が増大し、羽田からの国際便を増やす余裕が生まれる見通しだ。

 国土交通省はこれまで近距離のアジア便に限って、羽田からの国際便就航を認め、来年度以降は昼間の時間帯に年3万回の発着枠を国際線に割り当てる方針だった。これに対し、前原国交相は「羽田を日本の拠点空港に」として、羽田に発着する国際便の大幅な拡充を示唆した。

 まず必要なのは路線制約の撤廃だ。近距離アジア便だけでなく、インドや中東、米欧への旅客便を羽田から飛ばすことをためらう理由はない。経済的に重要な地域への「空の足」が便利になれば、日本経済の活性化につながる。本格的な24時間運用が可能になれば、深夜の時間帯に国際貨物便を増やすこともできる。

 昼間3万回という国際線の枠も引き上げの余地がある。成田空港関係者には「羽田から国際便が増えすぎると、成田の基盤が揺らぐ」という懸念もあるようだが、空港のあり方はやはり乗客の利便性を第一に考えるべきである。

 また首都圏空港の枠不足は依然続く見通しで、成田も交通アクセスの改善などに力を入れれば、羽田との共存も十分可能ではないか。

 空港政策の見直しと同時に、航空会社が路線を自由に設定できる空の自由化にも力を入れるべきだ。日本政府はこれまで世界的な航空自由化の流れに背を向けてきたが、運賃の引き下げや乗客利便の向上のためには、いつまでも国内業界保護の政策を続けるわけにはいかない。

 一方で日本に「強い航空会社」が存在することも重要だ。経営危機に陥った日本航空の国際線部門と全日本空輸を一本化するという案も検討に値する。

by yupukeccha | 2009-10-14 23:59 | 社会  

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