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過払い返還請求トラブル急増…日弁連が異例の指針

10月4日9時3分配信 読売新聞

 払い過ぎた借金の利息を取り戻す「過払い金返還請求」が全国で相次ぐ中、返還請求者と代理人となる弁護士や司法書士との間で、トラブルが増えている。

 多重債務者からの相談に対し、報酬が確実に見込める過払い金回収しか引き受けない弁護士や、返還金の9割近くを報酬として不正に受け取った司法書士も。日本弁護士連合会(日弁連)は、過払い金回収だけの受任はしないよう求める異例の指針を公表。民間団体も悪質な司法書士の実態調査に乗り出した。

 日本貸金業協会の調査によると、会員業者が過払い分として債務者に返還したり、元本から差し引いたりしたのは2006年度が5535億円、07年度が9511億円にのぼった。返還請求者の9割に弁護士や司法書士がついていたという。

 一方、請求者と代理人との間でのトラブルも多い。ある消費者金融業者の代理人弁護士は「報酬は過払い分の2割弱が相場だが、なかには3割以上の報酬を求める弁護士らもいる」と打ち明ける。

 神戸の男性司法書士は昨年、多重債務者に約195万円の過払い金が返還されたのに、約170万円もの報酬を受け取っていたことが発覚。多額の報酬を不正に受け取ったとして監督する神戸地方法務局から業務停止2年の懲戒処分を受けた。

 日弁連の多重債務対策本部によると、東京都内のある弁護士は東北地方で過払い金回収などの相談会を開くCMをラジオで流した。仙台市の会場で自己破産を希望する参加者に対し、「地元の弁護士にお願いしなさい」と拒否。ほかにも複数ある借金のうち、過払い金が発生する分だけ受任する弁護士についての苦情が寄せられているという。

 日弁連は7月、「債務者の意向を十分に配慮する」「ほかに債務があるのに合理的理由なく過払い金回収だけを受任しない」などの指針を公表した。

 多重債務者の支援団体「大阪クレジット・サラ金被害者の会」(いちょうの会、大阪市北区)には昨年夏頃から、司法書士らに「ヤミ金融から借りている分は受けない」と断られた相談者が目立ち始めた。回収が困難で報酬も期待できないためとみられる。

 同会は5月から「悪徳司法書士」の被害を調査。テレビCMをしている大手司法書士事務所などについて、「過払い分がないので断られた」「返ってきた金額と報酬の内訳が不透明」などの苦情があるという。

 全国クレジット・サラ金問題対策協議会の代表幹事で指針づくりに携わった木村達也弁護士の話「債務者を借金漬けの状態から解放し、健全な生活を取り戻させるために過払い金回収を活用しなければならない。ヤミ金や他の債務整理を受けず金もうけにまい進する一部の人たちの姿勢は情けない。プロとしての自覚を持ってほしい」

 ◆過払い金返還請求◆

 消費者金融業者などは従来、出資法の上限金利(年29・2%)と利息制限法の上限金利(年15~20%)の「グレーゾーン金利」で融資する場合が多かったが、05年以降、最高裁がグレーゾーン金利を実質的に認めない判決を言い渡したり貸金業者が債務者の取引履歴の開示義務を負うとの判断を示したりしたため、返還請求が急増。来年にはグレーゾーン金利は撤廃される見込み。

by yupukeccha | 2009-10-04 09:03 | 社会  

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