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鳩山政権のお手本…英国「政治主導」のゆがみ

9月7日7時7分配信 読売新聞

 「官僚依存脱却」を掲げて政権に就く民主党は、議院内閣制の本家・英国の「政治主導」を参考にする姿勢を示している。

 だが、英国では、閣外相や大臣政務官など各省庁に配置している約120人の与党議員は「数が多過ぎ、行政の支障だ」と見直しを求める声があがっている。また、労働党政権下で進行した、首相への度を越した権力集中にも批判が集まっている。

 英国は19世紀以降に成熟した2大政党制で政権交代が当たり前になり、官僚に対する政治主導が定着した。

 ロンドン大学のジョージ・ジョーンズ名誉教授は「官僚はカメレオン。主人が替われば、新たな主人の色に身を染める」と話す。閣僚の打ち出そうとする政策が法律・規則に反していれば忠告するが、適法であれば政策転換を受け入れ、「主人に忠誠を尽くす」。だが、英国で今問われているのは、その政治主導そのものだ。

 ◆目立ちたがり閣外相・政務官が巻き起こす混乱◆

 「閣外相や政務官は不必要に多い。彼らは出世のために党幹部の目を引こうとし、ニュースの話題作りに躍起だ。官僚が巻き込まれ、行政が混乱している」

 下院行政特別委員会は今年6月、こうした証言を盛り込んだ報告書をまとめ、閣外相と政務官の削減が必要と指摘した。

 閣外相や政務官は、若き政治家の登竜門とされ、官僚を掌握しているか否かで出世が決まる。しかし、最近では、メディアで目立つために自分勝手な政策を口にする傾向が増した。とりわけ、18年も野党に甘んじた労働党が1997年に政権奪還してからは、論功行賞で起用された閣僚が実務に長じておらず、閣外相・政務官のスタンドプレーを抑えられなくなった。


過度の官邸権力集中、こじれた英の「政治主導」
9月7日7時7分配信 読売新聞

 深刻なのは、首相官邸への過度の権力集中だ。

 ブレア前首相とブラウン現首相は、議員でも官僚でもない首相特別顧問を閣僚数に匹敵するほど抱えて、それぞれに外務、内務などの任務を与え、「代替内閣」を作り上げた。

 官邸主導下で、本来の内閣は次第に形骸化し、「意思決定は内閣で行う」との憲法の大原則から逸脱していると指摘されるようになった。

 ◆閣議ないがしろ、イラク開戦準備暴走◆

 ブレア、ブラウン両氏は米国の大統領制に近い「首相制」へと踏み出し、特別顧問を使い、閣僚の頭越しに官僚に指図するようになった――。6月下旬に行われた上院憲法委員会の公聴会での証言で、内閣府長官経験者が鋭く批判した。

 ロンドン大学のピーター・ヘネシー教授も憲法委での証言で、「首相は、特別顧問が官僚を無視して起草した文面で政策を打ち出すようになった」と述べ、イラク戦争に向けた重要書類が閣内で回覧されず、閣議をないがしろにしたまま開戦準備が進められたなどと問題点を列挙した。

 ◆メディア受け政策…朝令暮改も相次ぐ◆

 憲法委に寄せられた証言によると、首相が特別顧問を使って作成し、閣僚や官僚がじゅうぶんに関与しなかった政策は、メディア受けしても、地方政府などの執行機関が有効性を疑って実施を尻込みするようになった。

 その結果、大学改革やIT(情報技術)戦略などの分野で政策の朝令暮改が相次いだという。

 憲法委が今、調査に乗り出したのは、首相(官邸)への権力集中は、憲法上の問題に加え、首相と内閣、政治家と官僚の関係をこじらせ、実りある政策を生み出していないとの反省があるからだ。

 政治主導は、閣僚が官僚を御して政策を決め、内閣が連帯責任を担って支えることで成り立つ。そういう英国政治の伝統への回帰を良しとする共通認識が憲法委では形成されつつある。

by yupukeccha | 2009-09-07 07:07 | 政治  

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