日本人はピンク・レディーからダメになった

2009/9/3 10:00 日刊ゲンダイ

●「みんな持っているから」と好みが同じ

 民主党の歴史的大勝に終わった「政権交代選挙」。驚いたのは「バンドワゴン効果」の凄まじさだ。メディアが「民主優勢」を伝えるたび、うねりを上げて民主圧勝の勢いは増していった。勝ち馬に乗って投票した独身男も多かったのではないか。

 似た現象は、小泉自民が大勝した4年前の郵政選挙でも見られた。かつては敗れそうな候補に同情票が流れたものだが、今は違う。〈水に落ちた犬は打て〉とばかりに叩きのめす。日本人の気質を表した〈判官びいき〉は、もはや死語だ。

 今回、民主党に政治を託したのも、小泉フィーバーに乗せられたのも、中心となった有権者は同じ。自公政権の退場は大いに結構だが、国民が一斉に同じ方向を見つめる社会の雰囲気に一抹の不安を感じるのもまた確かだ。

 郵政選挙の直後、精神科医の和田秀樹氏は「幼少期にピンク・レディー現象が吹き荒れた、1965(昭和40)年以降に生まれた世代から日本人の気質は〈勝ち馬タイプ〉に一変した」と、喝破していた。
 ピンク・レディーのブームまでは「ご三家」「三人娘」に代表されるように、クラス全体が一組のアイドルに熱狂することはなかった。いじめが社会問題化したのも、ピンク・レディー世代の中高生時代。仲間外れを極端に恐れ、大事なのは〈ノリ〉と〈その場の空気〉。「ノリが悪い」は最低の評価で、「空気が読めない」とののしられる。そうして周りの雰囲気に流されやすい〈勝ち馬気質〉を醸成していった。

 周囲との同調を好むがゆえに、ピンク世代はメガヒットの原動力となった。80年代には「少年ジャンプ」が600万部を売り上げ、「ファミコン」が1200万台も売れた。民主圧勝の原動力となった有権者の中には「ドラクエIII」の発売日に、長い行列に参加した人も多いだろう。大した必要性もないのに「皆が持っているから」と、携帯電話の普及に一役買ったのも、この世代だ。

 政治家の資質や言動だけでなく、「郵政民営化」「政権交代」というワンフレーズが選挙の雌雄を決するようになったのも、ピンク世代が流行を追う感覚で政治をとらえている証拠だ。

「今回の選挙では、『祭り』や『ブログ炎上』と呼ばれるネット上のヒートアップ現象が、現実社会に飛び火しました」と分析するのは、臨床心理士の矢幡洋氏だ。

「有権者は森喜朗、古賀誠といった自民党の大物が苦しむ姿を楽しんでいるように見えました。いわば壮大な『いじめ』のようなもので〈参加しない者は許さない〉ムードに全員が従ってしまう。いったん火が付けば止まらず、昨日まで偉かった人がターゲットになるほど面白い点も一緒。いじめは個人の主体性の欠如からエスカレートします。今の日本人は幼い頃から豊かさを享受し、自ら運命を切り開かなくても十分な生活が保てます。その結果、決断力が鈍り、主体性が希薄になっているのです」

 ミーちゃん、ケイちゃんに夢中になった独身男にも、思い当たるフシはないか。
[PR]

by yupukeccha | 2009-09-03 10:00 | 社会  

<< 霞が関「民主シフト」 次官ら次... 医師会、「自民9割」献金見直し... >>