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<皆既日食>悪石島は「雲隠れ」 薄暮楽しむ

7月22日11時50分配信 毎日新聞

 世紀の天文絵巻の推移に一喜一憂する声がこだました。日本の陸上では46年ぶりとなる皆既日食が起きた22日午前。鹿児島県・トカラ列島など皆既日食帯はあいにくの天候の所が多く、観測者たちは祈るように天空を見上げた。関東甲信越でも天気がぐずつきがちだったが、一部の地域では雲間から部分日食が観測できた。人工衛星を通じた中継映像を提供する施設にも多くのファンが詰めかけた。

 「今世紀最長」の6分25秒の皆既日食が観測できると注目された鹿児島県トカラ列島(十島村)の悪石島では22日午前、人口の5倍を超す計394人が雲が切れるのを待ったが、「黒い太陽」は姿を見せなかった。残念がる声が出る一方、雲越しながらも突然「夜」になる体験に歓声や拍手もわき起こった。

 観測ツアー客218人が集まったのは、悪石島小中学校のグラウンド。5度目の観測という「日食ハンター」、山崎四明さん(76)=横浜市旭区=は「きっと晴れてくれるはず」と願い、望遠鏡を構えた。レジャーシートの上で観測用の「日食グラス」を構えた人など、それぞれのスタイルで「世紀の瞬間」を待った。

 小中学校の児童・生徒9人や島民らは学校の中庭で観測した。全世界と感動を共有しようと、村と鹿児島大学が用意したネット中継用の天体望遠鏡を囲み、空を見上げた。皆既の時間が近づくとグラウンドでは、観測者らが祈るような気持ちでカウントダウン。

 午前10時53分6秒。皆既が始まり、まばゆいダイヤモンドリングが見られるはずだった。それでも、皆既時間は6分25秒もある。太陽が完全に月に隠されて暗くなった中、雲の間から一瞬でも「黒い太陽」を、と空を見上げたが、かなわなかった。

 同村などによるとトカラ列島7島にはツアー客676人が来島。島を出て高校に進学した人など215人も帰省し、この日の7島の人口は1776人に。島民622人(6月末現在)の約3倍の人が宇宙のロマンを感じようと空を見上げた。一方、この日、諏訪之瀬島に到着予定だった432人は強風で上陸できず、洋上からの観測となった。【神崎真一】

 ◇静岡 部分日食見えた

 静岡市の東海大海洋学部での観測会には約200人が参加。午前10時半ごろから雲間から時折、約3~4割が欠けた部分日食が見え始め、専用メガネで空を見上げていた参加者から「やっと見えた」「すごい」と歓声があがった。東海大翔洋高校1年の深沢啓人さん(16)は「朝から雨だったので心配したけど、自分の目で見ることができてうれしかった」と話した。【望月和美】

 ◇東京 中継映像に歓声

 国立天文台の硫黄島観察隊が撮影する皆既日食の映像を中継する東京都江東区の「日本科学未来館」には、家族連れなど2000人以上が詰めかけた。中継会場には220インチの大型スクリーンが設置され、来館者に無料開放。両親と3人で訪れた神奈川県鎌倉市の小学2年、田島麗恩(れいおん)君(7)は「皆既日食を見るのははじめて。早く見たい」と待ちきれない様子。また、東京都葛飾区の磯尾梨乃ちゃん(5)は「天気になったらいいな」と笑顔を見せた。午前11時過ぎ、日食の開始が映し出されると、子どもたちは大きな歓声を上げた。

 多摩六都科学館(西東京市)では、日食の時にしか見られない木漏れ日の変化を楽しむ観察会があり、子どもたちは、空を見上げていた。

by yupukeccha | 2009-07-22 11:50 | 社会  

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