人気ブログランキング | 話題のタグを見る

相互不信の新疆、暴力のつめ跡 漢族がモスク襲撃

2009年7月9日3時2分 朝日新聞

相互不信の新疆、暴力のつめ跡 漢族がモスク襲撃_b0161323_17142629.jpg 【ウルムチ(中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区)=奥寺淳】1千人以上の死傷者を出す騒乱があった中国・ウルムチは8日、治安部隊の大量投入でひとまず平静を取り戻したように見える。市内のウイグル族地区を訪ねると、7日にあった漢族の集団による襲撃の跡が残り、住居だけでなくイスラム教のモスク(礼拝堂)まで破壊の対象になっていた。

 「300人ぐらいの漢族が突然モスクに石を投げ始めた。信じられない光景だった」

 市街地南部に住むウイグル族男性(31)が話した。7日午後3時すぎ、1千人近くの漢族が現れ、その一部がモスクを襲い始めたのだという。

 入り口にあった串焼きや焼き飯の屋台がひっくり返され、大釜も粉々に壊された。モスク1階の食堂のガラス製のドアが砕け、机やいすが散乱している。2階より上の窓ガラスが割られ、止めてあった車2台の窓ガラスも粉々に砕かれた。

相互不信の新疆、暴力のつめ跡 漢族がモスク襲撃_b0161323_1715033.jpg 近くの青果商のウイグル族男性は「誰かが投石を始めると、見ていた漢族が『もっとやれ』と叫び、拍手が上がった」と語る。警察は襲撃を止めようとはせず、「近づこうとしたら逆に止められた」。

 モスクは毎週金曜日、ウイグル族が礼拝に訪れる神聖な場所だ。取材していると、近くにいる警察官が住民に「何も答えるな」と圧力をかけ、過敏になっている。

 騒乱は当初、ウイグル族のデモから始まったが、ウイグル族の暴力を強調する報道に刺激された漢族の一部が暴徒化。ウルムチでは漢族の人口が圧倒的に多く、ウイグル族は守勢に立たされている。

 モスクから東へ約1キロにあるウイグル族居住地区には7日午後、数千人の漢族がこん棒などを持って現れた。退役軍人のウイグル族男性(32)は「刃渡り30センチ以上の刀を持っている男もいた」と証言する。この男性はこん棒で顔を殴られた。

 自宅を襲われたウイグル族女性(40)は「警官は眺めていただけ。『身の安全に注意するように』と言って立ち去った」と怒る。

 犠牲者の情報もある。この地区に住む女性は「民街という地区で、2人のウイグル族男性が倒れて死んでいるのを見た」。別の女性、ウアナサさん(28)は「義弟が頭を殴られ、死んだと連絡を受けた」と話す。

 栗智・ウルムチ市共産党委員会書記は会見で「一部の漢族が襲撃したが、私もそんな姿は見たくなかった。法に基づいて処理される」。取り囲んだ記者団から犠牲者数などを尋ねられても、いっさい答えなかった。

 市当局は8日、「みなさん、家に帰ろう、職場に帰ろう」と書いたビラをヘリコプターでまき、沈静化を図っていた。

by yupukeccha | 2009-07-09 03:02 | アジア・大洋州  

<< イスラエルの潜水艦、スエズ運河... カウスさん脅迫事件 前田五郎さ... >>