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「謎の食中毒」増殖中…短時間で発症・回復、年間100件超

6月22日14時34分配信 読売新聞

 食後短時間で一過性の下痢や嘔吐(おうと)の症状を呈し、原因物質が特定できない食中毒がここ数年、首都圏や瀬戸内海沿岸、北陸地方などで相次ぎ、地元の保健所が「再発防止策の取りようがない」と対応に苦慮している。

 関係自治体は「広範囲で発生している」として全国規模の調査を国に要請。厚生労働省が国立機関に研究分析を依頼し、事例収集を進めている。

 厚労省などによると、原因物質が特定できない食中毒には、〈1〉主症状が下痢や嘔吐〈2〉食後、発症まで平均4、5時間程度と短い〈3〉軽症で回復も早い--という共通点がある。保健所などが残飯や吐しゃ物を検査しても原因となる細菌や毒素などが検出されず、原因が特定されていない。食中毒と断定されるには至らなかった有症苦情事案にも同様ケースがあるという。

 岡山県の倉敷市保健所が中心となり、昨夏、瀬戸内海沿岸27府県市に、原因不明の食中毒や苦情事案についてアンケートをしたところ、回答した21自治体のうち20自治体が「あり」とした。06年度29件、07年度87件、08年度は夏までで32件。2年半の合計では広島県51件、兵庫県27件などが多かった。

 さらに同保健所が今年初め、瀬戸内地区を除いた全国の都道府県や政令市など97自治体に聞いた結果、回答した70自治体のうち54自治体が「あり」とした。集計すると、04年度27件、05年度40件、06年度71件、07年度89件と増え、08年度は112件に。地域別の最近3年間の合計では、東京都52件、千葉県41件、福井県33件などが多かった。

 調査を担当する同保健所の吉岡明彦参事は「患者数は1件につき数人から数十人。年間数百人以上になるのでは」と指摘。「既に知られている細菌は体内に入って増殖するまでの時間がもう少し長い。未知の物質が原因の可能性がある」として調査を継続する予定だ。

 ここ2年間で約10件の同様事案が発生した石川県なども昨年末に厚労省に原因の特定を要請。今年2月の首都圏の自治体担当者会議でも話題に上ったという。

 現在では主要な食中毒の原因物質も、過去にさかのぼると「原因不明」とされた時代がある。昨年の食中毒のうち患者数が最も多いノロウイルスも、遺伝子検査が確立し、国が原因物質に追加したのは1997年のことだった。

 厚労省から要請を受け、自治体への助言に取り組む国立医薬品食品衛生研究所の小西良子・衛生微生物部長は「各地の事例が同一現象とはまだ言えない。さらに事例を収集・解析する必要がある」と話す。厚労省は「近年まれにみる発見につながる可能性もあるが、まだ情報不足」とする。

by yupukeccha | 2009-06-22 14:34 | 社会  

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