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知りたい!:父なき子ピンチ 小泉チルドレン、自力の戦い強いられ

毎日新聞 2009年6月10日 東京夕刊

 政権選択がかかる衆院選が近づいてきた。小泉純一郎元首相の人気に後押しされて、2005年の衆院選で初当選した「小泉チルドレン」の多くが窮地に立たされている。麻生太郎内閣の支持率は低迷、後ろ盾だった小泉氏は引退する。残されたチルドレンはどうするのか。【國枝すみれ、鈴木梢、鈴木勝一】

 自民党はチルドレンを比例代表で優遇しないと決めた。「自力で戦え」との通告だ。

 ◇苦しむ比例単独組
 前回初当選した83人のチルドレンのうち、比例当選は47人(選挙直後の人数)。最もつらいのは、政治アナリストの伊藤惇夫氏が「フリーター・チルドレン」と呼ぶ前回比例単独組の14人だ。次期衆院選で小選挙区での公認を得られる見込みなのは埼玉9区の大塚拓議員(35)と神奈川7区の鈴木馨祐議員(32)。中森福代氏のようにさいたま市長選に活路を求め失敗した例も。猪口邦子議員(57)らは比例単独を目指す構え。

 ◇太蔵氏は不出馬
 小選挙区での公認争いに敗れた杉村太蔵衆院議員(29)=比例代表南関東ブロック=は4日、次期衆院選への不出馬を決めた。当初は「離党してでも出馬する」とたんかを切ったが、党の説得を受けて断念した。

 「小泉旋風は小泉さんではなく時代が吹かせた。時代認識がしっかりしていれば怖くない」と豪語するのは、「スーパーおやじ」と呼ばれる早稲田商店会元会長の安井潤一郎議員(59)=比例代表東京ブロック。とはいえ、安井氏は「比例順位について党から何も聞いていない。順位は評価だから、小選挙区との重複立候補者より順位が低いなら辞めさせていただく」。党へのけん制球か?

 比例復活組も厳しい。郵政造反組の復党で公認を得られなかった長崎幸太郎議員(40)は、山梨2区から無所属で出馬する構えを見せている。

 「毎日、死にものぐるい」というのは、佐藤ゆかり議員(47)。前回は岐阜1区に野田聖子消費者行政担当相の「刺客」として送りこまれたが、野田氏が公認され、昨年2月に東京5区(目黒区全域と世田谷区の一部)にくら替えした。5区で育った佐藤氏は「前回は嫁入り、今回は里帰り」と笑うが、名簿も後援会もない選挙活動の厳しさは「岐阜以上」。地元と永田町を1日平均5往復、睡眠時間は3、4時間だ。

 自民党に利用されたと思わないのか? 佐藤氏は「こちらも自民党を利用した。2世でも役人でもなく、地盤、看板もない民間出身の女性が普通、政治家になれますか? 困難は覚悟の上です」。

 自民党は前回296議席を獲得したが、それ以前の3回の総選挙では233~239議席。「これが自民党の本当の実力なら約60議席は上乗せ。チルドレンの多くは当選しなかった人たちで理論上でも落選の可能性は高い」(伊藤氏)

 ◇生き残りは1割台?

 選挙プランナーの三浦博史さんも「生き残れるのは1割台では。小泉旋風で勝ったのだから何もしなければ、『風と共に去りぬ』だ」と話す。カギは、当選後もきちんと地元を回ってきたかどうか。三浦さんは説明する。「青森でみかんの苗を植えても根付きはしないでしょう。選挙も同じで、自分の地盤に種をまいて芽を出させてこそ、風土になじむことができるのです」

by yupukeccha | 2009-06-10 18:00 | 政治  

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