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中国誘拐団、都内に潜伏 他人旅券で入国、斡旋役4日逮捕

6月4日8時8分配信 産経新聞

 誘拐事件の多発が社会問題化している中国で3人の児童誘拐事件に関与したとして、中国当局が誘拐容疑で逮捕状を取って行方を追っていた中国人の男(39)が他人名義の旅券で日本国内に入国し、東京都内に潜伏していたことが3日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁組織犯罪対策2課は他人名義のパスポートで不法入国したなどとして、男について入管難民法違反容疑で逮捕状を取っており、4日に男を逮捕する。中国当局は事件の全容解明には誘拐団メンバーの男の身柄引き受けが不可欠として、日本側に男の強制退去を要請していた。男は日本での司法手続き終了後、中国に移送される見通し。

 日中間では犯罪人引き渡し条約が締結されておらず、警察当局によると、中国からの要請を受けて容疑者を移送するのは極めて異例という。

 捜査関係者によると、男は誘拐団のメンバーで、誘拐した児童の斡旋(あっせん)先を確保する役割を担っていたとみられる。この誘拐団は平成17年から19年にかけて、山西省や山東省など中国国内3カ所で、児童3人を人身売買目的で誘拐した疑いが持たれている。

 中国当局はこれまでに誘拐容疑でメンバー数人を逮捕。捜査の過程でこの男も捜査線上に浮上したが、男は逃走した。その後の捜査の結果、男が知人男性になりすましてパスポートを取得し、19年6月ごろに「研修」名目で成田空港から日本に入国していたことが判明した。

 誘拐された児童3人のうち2人は見つかっているが、1人は行方が分からないという。中国当局は、行方不明の児童を保護するなど全容解明を進めるためには男を逮捕して供述を引き出すことが不可欠と判断し、誘拐容疑で逮捕状を取った。今年4月には男の身柄を引き受けるため、日本側に国際刑事警察機構(ICPO)を通じて男の情報を伝えるとともに、男の身柄を確保して日本国外に強制退去させるよう要請していた。

 要請を受け、警視庁組対2課が捜査を開始。男が東京都大田区内のアパートで寝泊まりし、自宅近くの食品製造会社の工場で従業員として働いていることを把握。男が19年6月ごろに他人名義のパスポートで日本に入国し、不法に滞在を続けているとして、入管難民法違反(不法入国、不法在留)の容疑で逮捕状を取った。

 ■中国での誘拐多発 今年4月から約1カ月間で72の誘拐団を摘発し、中国当局が女性や子供ら計410人を保護している。人身売買目的で、背景には一人っ子政策での農村部の嫁不足などがあるとみられる。最近では組織が大規模化し、調達や仲介などの役割も細分化、ビジネスとして広域化しているという。女性の値段は、最も安い貴州省で1人5000元(約7万円)程度とされる。




再犯の恐れ…対応苦慮 中国誘拐団の日本入国
6月4日8時12分配信 産経新聞

 ■引き渡し条約なし 身柄拘束も入国拒否も出来ず

 中国で暗躍する誘拐団メンバーの男(39)が東京都内に潜伏していることが明らかになった。中国では一人っ子政策による嫁、跡取り不足を背景に、人身売買を目的とした女性や子供の誘拐が相次いでいる。中国当局は近年、誘拐団の摘発を進め、一環として男の身柄引き渡しを日本側に要請していた。中国で何らかの犯罪に関与した容疑者は年間で数人、日本に入国していることが確認されている。しかし、日中間で犯罪人引き渡し条約を締結しておらず、身柄拘束も入国拒否もできない。警察当局は「日本でも罪を犯す可能性が高いのに…」と対応に苦慮している。

 ≪本腰≫

 中国メディアによると、中国での誘拐団の暗躍は社会問題化しており、中国当局はここ数年、誘拐団の摘発を進めてきた。今年4月上旬からは全国規模で集中捜査を開始。5月初めまでに72の誘拐団を摘発し、誘拐された女性214人、子供196人を保護した。

 中国で発生する誘拐事件の大半は身代金目的ではなく、人身売買目的だ。一人っ子政策がとられている中国では農村部で女児の堕胎が後を絶たず、男女の人数比のバランスが崩れているとされる。相次ぐ誘拐の背景には、農村部の嫁・跡取り不足があるとみられる。

 被害者の中には「仕事を紹介する」などといわれて誘拐され、農村部に嫁として売り渡された若い女性が多くいた。

 こうした状況を重く見た中国当局は4月から全国規模の捜査チームを作り、誘拐グループの摘発に力を入れてきた。また、誘拐された子供の身元確認を迅速に進めるために、父母のDNAデータなどを収集し、全国規模のDNAデータベースを構築している。

 ≪急務≫

 警視庁が今回、中国当局の要請に迅速に対応し、誘拐団メンバーの逮捕状を取ったのは、日本側にとって中国当局との捜査協力の枠組み作りが急務だからだ。

 警察当局によると、中国で罪を犯し、日本国内に逃げ込む中国人は年間数人いると確認されている。中国側が国際刑事警察機構(ICPO)を通じて加盟各国に手配すると、容疑者が正規のルートで日本に入国すれば、入国審査の段階で把握できる。しかし、日中間で犯罪人引き渡し条約が結ばれていないため容疑者の身柄を拘束できず、過去に日本で罪を犯していなければ入国拒否もできない。

 日中の捜査協力をめぐっては、昨年11月に両国の捜査当局が外交ルートを通さずに証拠や書類を提供する「日中刑事共助条約」が発効。今年2月の日中外相会談では、犯罪人引き渡し条約の締結に向け交渉を開始することで合意した。

 捜査協力を強化する流れの中で、昨年9月には東京都江戸川区の会社役員殺害・死体遺棄事件に関与していた疑いがあるとして警視庁が行方を追っていた男が逃亡先の中国で身柄を拘束され、翌10月に日本に移送されている。

by yupukeccha | 2009-06-04 08:08 | 社会  

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