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新華僑、横浜中華街へ続々 ジャパニーズ・ドリーム求め

2009年5月8日4時48分 朝日新聞

 横浜中華街に「異変」が起きている。150年前の横浜開港に伴い誕生した華僑の街でここ数年、新華僑の店が続々と開店している。中国産食品離れに加え、不況が続く中、老舗(しにせ)の閉店が相次ぐ世界最大級のチャイナタウンで、「ジャパニーズ・ドリーム」を手にしようと、たくましい生き残り競争が繰り広げられている。

 横浜中華街は約500メートル四方の地域に、約250の飲食店が立ち並ぶ。1859年の横浜開港後、来日した華僑たちによって外国人居留地内に作られた。観光客は現在、年間約2千万人に上る。

 その街で閉店が目立ち始めたのは3、4年前から。メーンの大通りだけで、約2割の13店が閉店。横浜中華街発展会協同組合理事長の林兼正・萬珍楼社長(67)は「中華街全体ではこの1年で16店が閉めた。こんなことは過去に例がない」ともらす。

 閉店の理由は、不況による経営難や後継者不足など。貸せば高い家賃収入が期待できることから、自店に見切りをつける老華僑もいるという。

 ただ、閉店してもすぐ新店が開くのも特徴だ。進出するのは、主に中国の改革開放政策に伴って1980年代以降に来日した新華僑の人たちで、中華街の外で店を開いて成功した人が多いという。

 福満園グループの陳聖芳社長(37)は昨春、北門通りの本店横に、5店目となるフカヒレ専門店を開いた。

 福建省出身の陳さんは88年に来日し、語学学校に通いながら複数のアルバイトを続けた。92年、横浜の老舗に入社、独立を夢見て月に約300時間働いた。95年、中華街の近くに店を構えると、02年には念願の中華街進出を果たした。

 午後9~10時に閉める店が大半の中華街で、福満園は午前2時まで営業する。陳さんは「新物件は我々にとって大きなチャンス。新しい発想の料理、ほかにないサービスをやらないと生き残れない」と語る。

 「90円肉まん」で評判の皇朝は、福建省出身で新華僑の陳祖明社長(38)が副社長の陳有章さん(36)ら仲間と立ち上げ、04年夏、中華街に1号店を開いた。

 黄色の看板が特徴で、「世界チャンピオンの店」をうたう。出店前、客は何を求めているか、マーケティングをし、試作を繰り返した。答えは「小ぶりで安価」。陳副社長は「味には自信がある。生産効率や仕入れを見直し、90円は守りたい」。昨年末には念願の大通りにも出店、中華街5店を含め11店になった。

 その一方、新華僑の相次ぐ進出に新たな不安も出ている。中華街では「街づくり協定」を作り、活性化のイベントも多いが、これに参加しない新華僑も多いという。謝甜記の謝成発社長(56)は「新しい店の中には強引な客引きやビラ配りなどマナー違反を繰り返す店もある。自分さえよければ、では街は栄えない」とくぎを刺す。

 ただ、林理事長は「今は商売が忙しく街づくりに参加できないかもしれないが、余裕が出れば協力してくれるはずだ。新華僑のハングリー精神は老華僑にとってもよい刺激だ」と見ている。(佐藤善一)

by yupukeccha | 2009-05-08 04:48 | 社会  

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