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無意味の意味

2009年3月24日 朝日新聞 CM天気図 天野祐吉

 白戸家のCMは、相変わらず面白い。シリーズものというのは、回を追うごとに表現のボルテージが下がってしまうのがふつうだが、ソフトバンクのこのシリーズは、“予想外”のがんばりを見せている。

 その人気の秘密の第一は、いうまでもなく不思議というか珍妙というか、常識では考えられない家族の設定にある。

 なぜお父さんは犬なのか。

 誰かの結婚式でお祝いのスピーチをしているお父さんを見て、知り合いの女子中学生が「こないだまで人間でしたよね」と言っているCMをさっき見たが、本当にそうだったら、どうして犬に変身してしまったのか、ナゾは深まるばかりだ。

 が、実をいうと、そんなことはどうでもいいのである。だいたい、世間のお父さんというのは、家の中で浮いている存在だから、それを犬にたとえたんだろうかとか、いくらでも解釈は成り立つし、そう解釈しても一向にかまわないのだが、ここはやっぱり、意味なんかないと考えるのが、いちばんいいんじゃないかと思う。

 つまりは、ナンセンスなのである。意味なんかないのである。そういうものにああだこうだ意味をつけたがるのは、それこそ無意味というものだろう。

 でもまあ、どうしても意味をつけたいのなら、こう思えばいい。家族の中に犬がいたって、皮膚の色の違う人間がいたって、そんなことはどうでもいいじゃないか。どうしてそんなことにこだわるのか。おかしいとこだわるほうが、実はおかしいんじゃないのか。

 ないを隠そう、そういうぼくは、実は猫である。で、家にいる人間や犬たちとも、けっこううまくやっている。

by yupukeccha | 2009-03-24 06:00 | 社会  

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