<日テレ誤報>裏付け取材 証言のウソを見抜く

2009年3月23日 朝日新聞 池上彰の新聞ななめ読み

 自社番組の誤報の責任をとり、日本テレビの久保伸太郎社長が辞任しました。17日の朝日と毎日は1面トップで扱いましたが、読売は1面ではあるものの目立たない扱いです。やっぱりね、と思った人も多いことでしょう。

 しかし、これまで読売は、日本テレビの報道の仕方を厳しく批判してきたのです。

 朝日新聞3月2日朝刊に、「日テレ『報道に誤り』」という記事が掲載されました。「真相報道バンキシャ!」が報道内容に誤りがあったことを認め、1日放映の番組で謝罪したという記事です。

 問題の番組は去年11月に放送。岐阜県の土木事務所が架空工事を発注し、裏金づくりが行われていると匿名の男が証言しました。放送を受けて岐阜県が調査した結果、その事実はなかったとして日本テレビに放送内容の調査と訂正を要求。日本テレビが再取材したところ、証言した男は建設会社の元役員で、証言がウソだったことを認め、証拠とした銀行の送金記録は自ら改ざんしたものだったと認めたというものです。

 朝日新聞の取材に対して日本テレビ総合広報部は「元役員から提出を受けた証拠書類が巧妙に改ざんされ、見抜くことができなかった」と説明しています。

 朝日の記事だけ読むと、裏付け取材がむずかしかったのだなあと思えてきます。男の証言を信じて放送したことはあまり咎められない、日本テレビはむしろ被害者かもしれないという気にすらなってしまいます。

 ところが、読売新聞の記者は、そう考えなかったようです。3月10日朝刊で、日本テレビの取材経過を検証する記事を掲載しました。それによると、証言した男性は、岐阜県発注の工事代金を水増しして裏金づくりに協力したと言っているのに、男性の会社は県発注の工事をほとんど受注しておらず、「受注実績を調べるだけで、証言の不自然さに気づくはずだった」。

 男性は裏金を入金したという銀行の出入金記録を番組スタッフに示していたが、「この記録はこの銀行の書式とは異なっていた」。「日本テレビは『銀行に確認した』としているが、銀行の広報担当は『取材を受けていない』と否定。『問い合わせてもらえば、違うと教えることができたのに』と話す」

 こうしたことから、検証記事は「裏付け取材さえすれば簡単に見抜けるウソだった」と結論づけています。

 読売の記者は、日本テレビの説明の裏付け取材をしたのです。
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by yupukeccha | 2009-03-23 15:00 | 社会  

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