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JASRACに突撃取材!! 著作物使用料の徴収方法と分配方法の真実(後編)

2010/6/18 18:00 日刊サイゾー

 一般社団法人日本音楽著作権協会JASRAC。音楽の著作権の許諾・徴収・分配を行っている団体であることは知られているが、実際、その詳細を明確に説明できる人は僅少だろう。前回の取材で、音楽バー「Live Bar X.Y.Z.→A」への著作物使用料の徴収方法とその分配方法に疑問を呈するドラマーのファンキー末吉が「JASRACとの公開討論を望む」と発言。彼の声を直接届けるべく、日刊サイゾー記者・本城零次と編集SがJASRACを訪問し、直撃インタビューを行った。

ファンキーの意向を伝えたが、「個別の交渉を公の場で議論するのは、プライバシー、個人情報保護などの観点からも不可能」とJASRACから"公開討論"の要望は断固拒否されてしまった。だが、そこで引き下がる我々ではない。あくまで、「一般論として」という形式ではあるが、JASRACの著作権の徴収と分配の実態、さらに、都市伝説として知られる"オーケン事件"の真相、著作権制度とネット社会のあり方を2時間に及んで取材した。

――改めて読者に向けて、JASRACとはどういう団体なのか説明していただけますでしょうか?

JASRAC JASRACは、著作権等管理事業法という法律に則った音楽の著作権を管理する事業者です。ほかにも音楽の分野で12社の著作権管理事業者があり、それらは営利法人ですが、JASRACは非営利で、手数料以外はすべて権利者に分配しています。事業目的は著作権の保護、利用の円滑を図り、音楽文化の発展に寄与すること。国内の作詞者、作曲者、音楽出版者など1万5000者以上の権利者と信託契約を結んで著作権の管理を受託しているほか、JASRACの管理曲を利用する場合には、利用者にJASRACの許諾を取っていただいて、著作物使用料をお支払いいただいています。海外の管理団体、84カ国、地域、114の管理団体と相互管理契約を結んでいるので、日本でビジネスとして流通している楽曲のほとんどと言っていいかもしれません。国内で利用実績のある日本曲120万曲、外国曲149万曲計269万曲をデータベースで管理し、ホームページで公表しています。また、文化事業として、著作権の講座を複数の大学に設けているほか、新人アーティストの支援ライブなどの事業も展開。JASRACの管理事業を通じて、権利者の著作権が保護され、利用される方が、適正な料金で使えることを通じて、音楽文化が普及発展するよう事業を進めています。

――もし仮に、JASRACがなくなると、世の中にどのような影響がありますか?

JASRAC もし、JASRACがなければ、権利者1万5000者がそれぞれ著作権を管理することになり、利用者はコンサートやカラオケなどで楽曲を利用する際に、毎回、各権利者に許諾を求め、使用料を決めて、権利者と交渉することになります。これは双方にとって不都合なことで、合理的ではありません。特に、外国の団体と相互管理契約を結んでいるのは日本ではJASRACだけなので、外国曲も直接海外に許諾を得ないと使えなくなります。例えば、100曲を掲載した歌集(歌本)を作る際に、全てJASRACの管理楽曲であれば、JASRACにだけ届ければ許諾を得られますが、100曲で作詞、作曲者が違えば、200人に許諾を取ることになり、手続きが大変煩雑になります。

――ドラマーのファンキー末吉氏がマネジャーを務めている音楽バーにJASRACから著作物使用料の要求が来て、徴収方法とその分配方法に疑問を呈し、JASRACと交渉を続けています。JASRACはこの一件をどのように捉えていらっしゃいますか? 

JASRAC やはり個別の交渉を公の場で議論するのは不可能です。ここで、著作物使用料の請求の現状について説明させていただければと思います。

社交場での演奏というと、カラオケ、生演奏、ディスコなどのレコード演奏があります。全国に飲食店は70万~80万店程度あり、その中で音楽を使っているかどうかをJASRACが調査して、利用形態に応じた形で著作物使用料を支払っていただいています。音楽を使っている飲食店は約20万店強。カラオケは約18万店、生演奏が約1万店、そのほか、旅館などがあります。カラオケは全店舗中90%の管理率、ライブハウスなどの生演奏の店が70%ぐらいの管理率です。カラオケは通信システムなので、全曲曲目を捕捉可能で、管理楽曲は年間トータルで40億~50億回使われて、使われた回数通りに権利者に分配されます。

――では、著作物使用料の分配についてさらに詳しく教えてください。

JASRAC 分配には、曲ごとに徴収した著作物使用料を基に行う曲別分配、演奏会や映画など年間の包括利用許諾契約を結び、全量報告を基に行うセンサス分配、それからサンプリング分配があります。現在、サンプリング分配を行っているのは、テレビなどにおけるレコード放送(テレビ番組の背景音楽としての利用)、社交場の生演奏、レンタルCD、有線放送等の4つの利用区分のみ。テレビなどにおけるレコード放送、レンタルCDは技術的に今後、どの曲が何回使われたのか、捕捉が可能になっていきます。

生演奏で利用した楽曲をすべて報告するのは、利用者(ライブハウスなどの経営者)の負担が大きく、また、曲の正確な題名、作詞、作曲者も分からない場合があり、そのためサンプリングにならざるを得ません。でも、ライブハウスなどにも曲目をJASRACに提出してもらうように要請はしてます。サンプリングのモニター店は、統計学の観点から選んだ全国800店舗(年間)で実施しています。

 800店は順次変わり、地域、規模もそれぞれ異なる店を統計手法に基づきランダムに選んでいます。サンプリングは全国を対象に行っているので、効率良く実施するために統計調査を専門とする外部の社団法人に委託しています。そこでの調査結果と、ライブハウスから提出された曲目リストの報告も加味して、著作物使用料を分配しています。でも、サンプリングなのでやはり、もれてしまう可能性はあります。100%と言えないのは確か。今後はさらに、サンプリングの精度を上げることが課題ですね。

――著作物使用料を分配する際には、手数料を取っていらっしゃるんですよね?

JASRAC 手数料は、権利者に分配する段階で控除させていただいています。手数料率の平均は、一昨年度では12.1%です。この数字は、外国の著作権管理団体と比べてかなり低い数値です。JASRACは、非営利の法人であり、ほかの公益法人のように国からの補助金なども一切受けていません。

――その手数料というのは、妥当な数字だとお考えですか?

JASRAC 迅速で公正な管理を行う上で、可能な限り低い料率と考えています。ただし今後、さらに合理的な管理方法を実現することで手数料が下がることはあるでしょう。特にインターネットの楽曲の利用は数が膨大で、利用者も曲目を報告するのが煩雑なため、利用申請の簡素化を図る「一般社団法人 著作権情報集中処理機構(CDC)」という団体を作り、申請の権利処理を早くするようにしています。

――さて、巷で話されている都市伝説の真偽を教えてください。「筋肉少女帯の大槻ケンヂが自分のエッセイに自身が作詞した筋少の曲『高円寺心中』の歌詞を載せたところ、JASRACから歌詞の著作物使用料を徴収されてしまい、しかもその金額が印税としてまったく還元されなかった」というウワサがあります。2008年にこれは大槻さん自身が、雑誌「ぴあ」で単なるウワサだと否定しましたが、一般的にこのような事例はありえるのでしょうか? また、本に歌詞をどの程度引用した場合から申請が必要になるのでしょうか?

JASRAC 出版物に歌詞を載せる場合、歌詞を書いた方が自身の曲を載せたとしても、著作権の手続きを取らなければならないのは、出版の責任者である出版社になりますので、ご自身が著作物使用料の請求を受けることはありません。歌詞の「引用」などは、法律上認められています。引用の判断は、著作権法の第32条に「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない」という引用の規定があります。歌詞を1行ならいい、2行ならいいという話ではなく、引用の仕方が問題で、この対応はケースバイケースにならざるを得ません。でも、丸ごと歌詞を載せる、楽譜を載せる場合は、通常の利用になるので手続きは間違いなく必要です。このような引用の問題については、個別の具体事例を法文上に盛り込むことはできませんから、裁判で争われることもあります。

――「Twitterで歌詞をつぶやいたら、著作物使用料が発生する」とニコニコ動画のニコニコ生放送でJASRACの菅原常務理事が発言されました。今後、Twitterにはどのような対応を取られるのでしょうか?

JASRAC Twitterについては現在検討中です。管理する可能性もあります。

――使用料を徴収するとしたら運営会社でしょうか? 個人でしょうか?

JASRAC どなたに手続きをお取りいただくかは、未定です。でも、個人の方にお願いするのは難しいでしょうね。

――既存のネットサービスにはどのように対応されているのでしょう?

JASRAC ネットで許諾を得ていない歌詞が掲載されている場合はJASRACで調査し、見つけたものには連絡して、契約の手続きを求めています。個人でホームページに歌詞を載せる場合は、1曲あたり1カ月150円、1年の契約で1200円で掲載することが可能です。

――JASRACは権利者のことを考えて公明正大に職務を全うされているように思えます。ですが、世間のJASRACを見る目は非常に厳しい。この点はどのようにお考えですか?

JASRAC 飲食店などの社交場の契約で、支払いを長年にわたって拒否されていた利用者の方が、法的措置になった場合に多額の金額を徴収された、という報道に対して反感を持たれてしまっているように思います。Aという店には長年支払ってもらっているのに、その隣にある店のBが拒否されては、Aとの公平性を欠くのでBを放置できません。社交場から著作物使用料を支払ってもらうのは、粘り強く交渉するしかありません。実は、JASRACの職員が著作物使用料の徴収に出向いて、危険な目にも遭うことがあります。それでも、権利者に著作物使用料を分配することが目的なので、著作物使用料の支払いを拒否している人を放って置くわけにはいきません。

――ネットユーザーというのは、YouTube、ニコニコ動画など、無料で音楽・動画を利用することに慣れています。包括契約で、ニコニコ動画やYouTubeはJASRACに支払う契約を結んでいますが、今後、Twitter、USTREAMなどさらに新たなネットサービスが台頭することは予測されます。この状況の中でJASRACはどのような対応を取っていくのでしょうか?

JASRAC ネットでの音楽配信などのビジネスが成り立たないと、今後、音楽業界は崩壊する可能性があります。JASRACのような管理事業者が著作物使用料を決める場合には、著作権等管理事業法にもとづいて、利用者団体などからあらかじめ意見を聴取するよう努めなければなりませんので、こちらで勝手に届けを出して、勝手に管理することはできません。NMRC(ネットワーク音楽著作権連絡協議会)などネットを使った新しいビジネスを行う人達と、意見交換できる窓口は常に設けているので、スピーディーに決めていきたいと考えています。そのほか、ネット配信で著作物使用料を正当に評価できる仕組みを考えないと、最終的にユーザーが不利益をこうむることになります。

――やはりもっと、JASRACの職務内容を世間に周知徹底する必要がありますね。

JASRAC ユーザーに著作権の大切さをどう理解してもらうか、広報していくかは常に模索しています。役員がニコニコ動画に出演したり、誰もが来てもらえる公開シンポジウムを開いたり、努力はしている。ほかにも、ラジオCMを流しているほか、中学生、高校生の訪問を受け入れたり、大学の講座で話もしています。若年層に向けたアプローチを今後もっと考えていこうと思っています。

 * * *

 作詞、作曲者が作った楽曲がテレビ、映画、カラオケなどで利用された際に、その利用者から著作物使用料を徴収し、その作家に正当に分配するJASRACの存在は、作詞、作曲者には非常に貴重な存在だ。音楽を愛する人であれば、自分が利用した音楽の著作物使用料が作詞家、作曲家に分配されるなら文句を言う人はいないだろう。だが、JASRACの著作物使用料の徴収方法などはまだまだ世間に浸透しておらず、今後もJASRACのあり方については、時代に即した制度にするべく議論が必要だ。JASRACによって、日本の音楽文化がさらに発展することを願いたいものだ。

 そんな中、今回のファンキー末吉とJASRACの議論を記事にするのは、今回の取材をもって終結させようとしていた矢先、ファンキーがまたも自身のブログで激昂した。「今回の私の申し出をJASRACが断ったとしたら、お話しには行きたいが、客を入れたりネット中継されるのは勘弁してくれ、と言うならば!! そしたらワシはJASRACに出向いて行こう!! 来てくれないならワシから出向いて行くしかない!! ワシは著作権料を支払いたいのだ!!」(文章一部略)

 どうやらファンキー氏、JASRACに自ら乗り込むつもりだという。JASRAC VS ファンキー末吉、第2章。事態の進捗にご期待あれ。
(文=本城零次
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by yupukeccha | 2010-06-18 18:00 | 社会  

<JASRAC>公取委命令 取り消しを求める審判を請求

4月28日22時52分配信 毎日新聞

 テレビ・ラジオでの楽曲使用を巡り、公正取引委員会から2月に独占禁止法違反(私的独占)で排除措置命令を受けた日本音楽著作権協会(JASRAC、東京都渋谷区)が28日、公取委に対して命令の取り消しを求める審判請求を行った。JASRACは楽曲の使用料に関して放送局と「包括契約」を結び、放送事業収入の一定割合を徴収している。公取委は、この手法が他業者の参入や事業を制限していると認定し、新しい契約方法の考案などを求めていた。
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by yupukeccha | 2009-04-28 22:52 | 社会  

「楽曲の権利処理の窓口を一本化」、JASRACなどが「著作権情報集中処理機構」を設立

2009年3月6日17時8分 nikkei BPnet

 日本音楽著作権協会(JASRAC)やネットワーク音楽著作権連絡協議会(NMRC)などは2009年3月6日、著作物の適正かつ円滑な利用を促進するため、非営利の一般社団法人である「著作権情報集中処理機構(CDC)」を同日に設立したと発表した。

 理事には、ネットワーク音楽著作権連絡協議会(NMRC)の代表世話人を務める佐々木隆一氏と、日本音楽著作権協会(JASRAC)の常務理事である菅原瑞夫氏が就任した。設立発起人にはNMRCとJASRACのほか、慶応義塾大学大学院教授の岸博幸氏とジャーナリストでCommunity SimulRadio Alliance代表の木村太郎氏、に・よん・なな・みゅーじっくの取締役会長を務める丸山茂雄氏、渡辺プロダクションの代表取締役会長の渡辺美佐氏、国会公務員制度改革推進本部の事務局長で日本経済団体連合会の参与を務める立花宏氏(特別顧問)が名を連ねた。

 インターネットや携帯電話を利用した楽曲コンテンツの配信量が増加傾向にある。その一方で、これらの多種多様なコンテンツの権利処理と使用料分配に必要な楽曲を特定するためのコストや作業量が増大している。「楽曲数の増加によって、調査や報告といった実務に大きなコストとリスクが発生しており、配信ビジネスの大きな阻害要因といえるものになってきた」(CDC理事の佐々木氏)という。

 CDCは、コンテンツ配信事業者の楽曲利用の報告を受ける窓口となる。「フィンガープリント技術」を利用して楽曲の音源データなどから楽曲IDを特定できるデータベースシステムを使い、楽曲配信事業者の利用楽曲をどこの権利者団体が管理しているかを把握して、権利者への利用実績報告データを作成する。利用者(楽曲配信事業者)はこれまで利用楽曲の報告を、その楽曲を管理する権利者団体ごとに行っていたが、今後はCCDに窓口を一本化できる。

 CDCはまず2009年5月の実験システムの稼働に合わせて、本システムの競争見積もりを実施する。本システムの本格運用開始は2010年4月を予定する。システム構築費は、「概算だが2億円から2億5000万円を想定している」(CDC理事の佐々木氏)という。

 なお菅原理事は今回の会見で、「この法人で映像コンテンツを取り扱うことは考えていない」と述べた。こうした権利処理の効率化に向けた取り組みは、「それぞれのプレーヤーごとに考えるべきこと」として、楽曲コンテンツについての取り組みが即座に動画コンテンツにも適用されるわけではないという見解を示した。一方で、「今回の取り組みはネットワーク配信における配信事業者と権利者との初めての取り組みであり、これが一つのパイロットケースになればとは思っている」と付け加えた。
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by yupukeccha | 2009-03-06 17:08 | 社会