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新興市場、不正報告相次ぐ 上場前からの粉飾決算も

2010年7月5日15時0分 朝日新聞

 東京証券取引所のマザーズなど株式の新興市場で近年、粉飾決算など不適切な会計報告を行った企業が増加していることが、朝日新聞の調べで分かった。上場前からの粉飾も相次いで発覚。それを見逃した上場審査の問題が浮かび上がった。証券取引等監視委員会はチェックを強化しているが、資金調達を焦って好業績を装う新興企業が後を絶たないという。

 朝日新聞の集計によると、東証マザーズ、大阪証券取引所のヘラクレス、ジャスダックの3新興市場(2009年末で計1221社)で、会計や情報開示が不適切だった企業は05~09年度で計98社。05年度の9社から年々増加し、08年度は29社に上った。98社のうち、粉飾決算などで監視委の刑事告発が4社▽監視委の課徴金納付命令の勧告が15社▽架空取引や企業の重要な情報の非開示などで各取引所から監理銘柄指定や改善を求められたのが延べ38社。

 さらに、今年に入って上場前からの粉飾決算が相次いで明らかになった。5月に監視委の強制調査を受けた半導体製造装置メーカー、エフオーアイ(破産手続き中、神奈川県)は、昨年11月のマザーズ上場時の審査に提出した昨年3月期の売上高約118億円が実際には2億~3億円だったことが発覚。市場関係者によると、エフ社は04年3月期から粉飾を始めていた。

 また、コンサルタント会社「シニアコミュニケーション」(東京都)は6月、22億円の架空売り上げ計上による粉飾決算を公表。同社はマザーズに上場した05年12月より前の同年3月期から架空計上を繰り返していた。当時の役員は社内調査に対し「上場に向け、会社を成長させなければならない」と粉飾の動機を語ったという。

 エフ社の粉飾決算を調べている監視委は、上場審査の段階で多額の粉飾を見破れなかったことを問題視。その経緯の解明を進めている模様だ。

 上場審査には、企業の会計監査を行う公認会計士、上場手続きをアドバイスする役割の証券会社、最終的に上場の可否を決める東証がかかわるが、いずれもチェック機能が働かなかったことになる。

 東証では、新興市場の上場審査は1・2部より簡素化されている。審査期間が短くなっているうえ、企業の内容について報告する項目が少なくなっている。

 エフ社については、上場前に東証に粉飾を指摘する投書が寄せられていたという。だが、東証の斉藤惇社長は粉飾発覚後の記者会見で、「国家試験を通った監査人が間違いないという文書をつけてくる。東証がいちいちそうじゃないと調べるわけにはいかない」と答えるにとどまった。

 また、監査する立場として、日本公認会計士協会の山田治彦常務理事は「新興企業はビジネスモデルが新しく、従来の監査手法が当てはまらないことがある。不正のチェックが難しい」と話す。

 新興企業による不正行為が増加している理由について、監視委幹部は「市場からの資金調達の困難さが拍車をかけている」と指摘。新興企業は銀行など金融機関の後ろ盾がつきにくく、市場に頼る企業が多いという。06年のライブドアの粉飾決算事件以来、投資家の新興市場離れが続いており、東証マザーズの上場企業全体の株の時価総額は06年の7兆円から現在は1.2兆円にまで落ち込んだ。(釆沢嘉高、座小田英史)
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by yupukeccha | 2010-07-05 15:00 | 経済・企業