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八ツ場上流、ヒ素検出を公表せず 国交省

2009年11月13日3時31分 朝日新聞

b0161323_4451538.jpg 八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の建設予定地の利根川水系の吾妻川とその支流で、国土交通省が少なくとも93年以降、環境基準を超えるヒ素を毎年検出しながら、調査結果を公表していなかったことが朝日新聞社の調べでわかった。下流で取水する飲用水の水質に影響する結果ではないが、ダム建設の是非に影響しかねないとみた国交省が、データの公表を避けて計画を進めていた。

 国交省は昨年12月から政権交代直前まで、非公表の第三者機関「八ツ場ダム環境検討委員会」を設け、ダム建設が水質や自然環境に与える影響を検討。朝日新聞社は「八ツ場ダム 環境保全への取り組み」と題した報告書を入手した。非公表とされてきた水質データが記されている。

b0161323_4454654.jpg ヒ素は自然界に広く分布し、火山の岩盤や温泉水には高濃度で含まれる。環境基本法に基づく河川の水のヒ素の環境基準は1リットル当たり0.05ミリグラムだったが、世界保健機関がヒ素の発がん性を懸念して厳格化。日本でも93年から同0.01ミリグラムに強化された。

 報告書によると、草津温泉を流れる湯川や、酸性の水質を改善するために設置された品木ダムの放水口、八ツ場ダム建設予定地から約10キロ上流の貝瀬地点では86年度以降、ヒ素濃度が高く、基準が強化された93年度以降は基準を上回っていた。08年度の平均値は湯川で基準の約100倍、品木ダムの放水口で約10倍、貝瀬地点で5倍を記録した。

 吾妻川の水質は、草津白根山系の硫黄鉱山からしみ出す水や草津温泉からの水が流入して酸性が強い。1952年に計画が浮上した八ツ場ダムも、コンクリートが溶けることを理由に一度は断念された。だが、63~65年に、強酸性を改善するための中和工場や品木ダムが造られ、湯川など上流の三つの川に石灰液を投入して中和化が進められ、八ツ場ダム計画が復活した。

 環境省によると、環境基準は政府としての目標値で、基準を超えても国や自治体に法的な改善義務は生じないが、環境基本法は改善に努力するよう義務づけている。しかし、国交省はこうした事態を公表せず、封印していた。

 吾妻川とその支流の水は飲み水には使用されておらず、国交省は「下流に流れるにつれて他の河川と合流するなどしてヒ素は薄まる。ダムでは沈殿するため、下流の利根川での取水で健康被害の心配はない」としている。報告書を作成した環境検討委も、八ツ場ダム完成後は「(下流部での)ヒ素濃度は下がる」と予測している。

 水質調査の結果を長年、非公表としてきた理由について、国交省は「ヒ素の数値が出ると、観光や農業、漁業など流域の幅広い産業に風評被害が起きる可能性があったため」と説明する。

 環境検討委は今年3月までに3回開催され、8月には報告書を公表する予定だったが、総選挙の時期とも重なり、基準を上回るヒ素の公表が、ダム建設の是非にどのような影響を与えるかを巡って検討委や省内の調整作業が難航。4回目の開催は9月に延びたが、結局、政権交代で八ツ場ダム自体が中止の方向となり、4回目の会合は開催されていない。

 国交省は報告書の存在を認めた上で、「まだ検討段階のもので、最終結論を得たわけではない。今後、公表するかどうかは未定」としている。(津阪直樹、菅野雄介、歌野清一郎)
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by yupukeccha | 2009-11-13 03:31 | 行政・公務員  

天下り公益法人に調査丸投げ 検査院、国交省に改善要求

2009年10月30日15時3分 朝日新聞

 道路の陥没事故につながる地下の空洞を調べる事業を、国土交通省が具体的な成果を求めないまま天下り公益法人などに委託したり、競争性が低い契約を結んだりしていたことが、会計検査院の調べで分かった。この法人については東京都内で空洞を見逃していた疑いが相次いで発覚。検査院は、ずさんな調査につながった業務丸投げや契約方式を改善するよう同省に求めた。

 この公益法人は、同省所管の「道路保全技術センター」(東京)。この事業は、88年に東京・銀座で路面の陥没事故が起きたことを機に開始。レーダー搭載の特殊車が走行しながら路面下を調べるもので、07年度までセンターが独占的に受注し、センターは特殊車を開発した民間業者と随意契約を結び、そのまま業務を委託していた。

 同省は、国会などでの批判を受け、08年度分から企画提案を公募する契約に切り替えた。調査業務16件(計約6億5千万円)のうち、11件をセンターが、残り5件はこの民間業者が受注していた。

 しかし、検査院が調べたところ、この公募方式では技術面での競争性はあるものの、受注業者の選定後は随意契約が結ばれており、価格面では競争性が低かった。

 さらに検査院が、この16件の契約状況を調べたところ、15件で同省は空洞の大きさや深さなど「危険」とされる基準を具体的に示していなかった。どこが危険で探査すべきかはセンターなどの判断任せで、調査で求める成果が明確になっていなかった。

 また、探査で得られたデータは、空洞の可能性のある場所についてはセンターなどから同省に提出されていたが、それ以外の場所のデータは提出を求められていなかった。道路を管理する上で、年月の経過と空洞の変化を検証できない状態だった。

 この問題をめぐっては、センターによる民間会社への業務丸投げが、国会などで表面化。その後、センターが都内の空洞を見逃していた疑いも報道で指摘された。このため、国交省は今年5月、センターの過去の調査の適切さなどを検証するため、有識者による第三者委員会を設け、議論している。国交省道路局は「委員会の報告や検査院の指摘を真摯(しんし)に受け止め、一つずつ改善していきたい」と話している。(前田伸也)
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by yupukeccha | 2009-10-30 15:03 | 行政・公務員