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四川大地震 断層隆起、長さ285キロ 静岡大チーム調査

5月8日15時1分配信 毎日新聞

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 9万人近い死者・行方不明者を出した08年5月の中国・四川大地震を起こした断層の全体像を、林愛明・静岡大教授(地震地質学)の研究チームが明らかにした。四川省を南西-北東に走る「竜門山断層帯」の3本の断層が、約285キロも隆起していた。3本の断層が隆起した高さは平均2~4メートルで最大6.5メートルに達したことも突き止めた。千葉市で16日に始まる日本地球惑星科学連合大会で発表する。

 研究チームは、地震発生2日後から約10日間現地で調査、08年7月と9月にも被災地入りした。地表に現れた地震断層の分布形態や滑り量、地震被害に関するデータの収集・分析を進めた。

 その結果、竜門山断層帯にある4本の主要断層のうち、これまでに隆起が判明していた「映秀-北川断層」の一部約250キロと、ほぼ並行して延びる「灌県-安県断層」の一部約130キロに加え、映秀-北川断層に並行した「青川断層」の一部約50キロが動いていたことが新たに判明した。4本の断層はいずれも地下では一つにつながっていることが地震波の調査で分かっており、地表の断層の長さは東京-名古屋の直線距離に匹敵する約285キロと分析した。【石塚孝志】
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by yupukeccha | 2009-05-08 15:01 | アジア・大洋州  

四川地震 「ダムが誘発」説 地元は否定、日中で研究

2009年3月19日 朝日新聞 朝刊

 約8万7千人の死者・行方不明者を出した昨年5月の中国・四川大地震(マグニチュード8・0)は、巨大なダム湖の水圧が断層を刺激して起きた──こんな説を中国の地質学者が唱え、議論になっている。四川省政府は「ダムと地震は無関係」としているが、なぞの科学的解明のため、日中の共同研究も始まった。(広州=小林哲)

 「ダムの湖水が地震を引き起こした疑いが強い」

 四川省地質調査チームの範暁教授(地質学)は力を込める。ダム湖とは、同省最大の紫坪舗(ツーピンプー)ダムのことだ。汶川県映秀地区にある震源地から5.6㌔離れ、山肌がむき出しになった尾根のふもとに満々と湖水をたたえている。

 水力発電用大型ダムで、04年12月から貯水が始まった。総貯水量は、日本最大の徳山ダム(岐阜県)の約1.7倍の約11億立方㍍ある。堤高は156㍍だ。

b0161323_1910021.jpg ダム湖は地震を起こした竜門山断層帯のうち、北川─映秀断層と江油─都江堰断層にはさまれている。現地の科学誌などで「誘発説」を主張してきた範暁教授は、ダム湖の水位に注目する。

 範教授によると、紫坪舗ダムの水位は、貯水が始まってからの2年間に120㍍増えた。しかし放水と貯水を繰り返すため、水位は年間60㍍も上下する。「地下の断層に加わる圧力は無視できず、ダムがなければあれほどの大地震にはならなかった」

○ ○ ○

 「ダムをつくらせた人間は万死に値する」「財政だけではなく、自然との調和を考えるべきだった」。ネット上では、省職員でもある範教授の思い切った主張に反響が広がっている。この説が本当なら、同所にダムの建設を進めた省政府の責任問題にもなりかねない。

 米科学誌サイエンスも今年1月、「四川大地震は人間が引き起こしたのか?」という特集記事を掲載。ダム湖の重みによる影響は、地殻変動による負荷の25年分に相当したとする米国研究者や範教授の主張を紹介しながら、中国当局が詳細な観測データを公表しておらず、検証も進んでいないなどと批判した。

 ただ、専門家の意見は割れている。中国の地震に詳しいカナダ・モントリオール理工科学校の稽少丞教授はまっこうから反論する。

 「震源は地下19㌔の深さにあり、湖水の影響は無視できるほど弱い。地震のきっかけにすらなりえない」

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 ダム湖と地震の関連が注目される背景には、四川大地震では、1千万年前以降は活動が低調で「死んだ」と考えられていた断層が動いたことがある。ダム湖の影響を含め発生の詳しいメカニズムの解明は、始まったばかりだ。

 ほかにもダム湖との因果関係が疑われている地震がある。範教授によると、マグニチュード(M)6級だけでも、中国広東省(62年)、ザンビア(63年)、ギリシャ(66年)、インド(67年)の4件が知られているという。

 東京大学地震研究所の平田直教授によると、ダム湖の近くに断層があると、湖水の重みや地下にしみ出した水で刺激を受け、地震の引き金になる場合がある。地震の直撃を避けるため、日本ではダムの候補地を選ぶ際、地質調査などで断層の有無を確認することにしている。

 ただ、四川大地震については「水圧が最後の一撃になった可能性は否定できないが、ダムの水だけであれほど大規模な地震は起きない」との見方だ。

 発生の仕組みの解明は、日本で将来、同じような地震が起きないかどうか知る上でも重要だ。日中の共同研究も始まっている。

 産業技術総合研究所(つくば市)の雷興林・主任研究員と四川省地震局などのチームは、地震前の半年間に水位が約50㍍下がったことなどで、ダム湖直下の断層が受けた圧力の変化を推計した。

 その結果、深さ10㌔付近では断層が滑りやすくなる方向に、潮の満ち引きを起こす太陽や月の引力による影響の数十倍の力が働いたことがわかった。「この結果だけでは何とも言えない」との立場だが、湖水が断層に影響を与えたことを補強するデータだ。

 四川省政府は、公式には「ダムと地震は無関係」との主張を繰り返している。現地のある専門家は「うやむやにせず、きちんと科学的に検証して今後のダム建設などに役立てるべきだ」と言う。

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by yupukeccha | 2009-03-19 06:00 | アジア・大洋州