こでも起こる「群衆心理」の悲劇 カンボジア転倒事故

2010/11/25 22:06 産経新聞

 カンボジアの首都プノンペンで、祭りの見物客ら350人近くが死亡した転倒事故で、地元の捜査当局は、現場の橋が人の重みで揺れて「橋が落ちる」と叫び声が上がり、パニック状態になったことが原因との見方を明らかにした。国内外を問わず後を絶たない「群集心理」が引き起こす悲劇。専門家は「厳しい交通規制を徹底しなければ、どこでも起こりうる」と警鐘を鳴らしている。

 事故はカンボジア最大の祭り「水祭り」の盛り上がりが最高潮に達した最終日の22日夜に発生。現場は長さ約100メートル、幅約8メートルの橋の上で、AFP通信によると、目撃者の一人は「橋を渡っていると、反対方向から来た人が押し始めた。悲鳴が聞こえ、皆がパニックに陥った。駆けだした人が互いにつまずいて転んだ」と語った。

 悲鳴と怒号が飛び交う中、人々は折り重なるように倒れて川に転落する人も。2人の娘を亡くした女性(53)は「つらいけど受け入れなければならない」と涙をにじませた。

 群衆事故に詳しい東京女子大の広瀬弘忠教授(災害・リスク心理学)によると、「人が一定程度以上密集することで数百キロの圧力で女性や子供が倒され、周囲の人が覆いかぶさり、さらに逃げる人々がその上を歩く『踏みつけパニック』になる」という。

 群衆の混乱に伴う転倒事故としては、サウジアラビアのイスラム教の聖地、メッカなどの巡礼に伴って毎年のように数百人規模の死者が出たほか、国内では平成13年、兵庫・明石の歩道橋で花火大会の見物客が将棋倒しになり、11人が死亡した。

 広瀬教授は「熱狂的ファンが集まるコンサート会場やスタジアムなど、日本国内でも対策が不十分な施設が多い。流れが滞留しないよう通行経路を確保する以外、事故防止策はない」と指摘している。

 カンボジア政府は25日、首都プノンペンの水祭りで22日に起きた転倒事故の死者数を347人に修正した。一部の関係者が見舞金目当てに虚偽の報告をした可能性もあるという。
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by yupukeccha | 2010-11-25 22:06 | アジア・大洋州  

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