温泉、薄かった 湧出量不足で水道水混ぜる 琴平町

2010年9月29日15時1分 朝日新聞

 「こんぴらさん」の金刀比羅宮(ことひらぐう)があり、大勢の観光客が訪れる香川県琴平(ことひら)町の琴平温泉街で、源泉を管理する同町が2年4カ月にわたり、湯量不足を補うため水道水を混ぜて旅館やホテルに供給していたことが、町への取材でわかった。平均して源泉の1.6倍の水を混入し、多い時には6~7倍のこともあった。香川県は同町に対し、適正な供給を指示した。同町は29日、供給先のホテルや旅館側に説明し謝罪した。

 琴平町によると、町内には現在13の温泉施設があり、このうちホテルや旅館計10施設が町の源泉を利用している。90年代に数軒のホテルにしか温泉源がなかったため、自前の源泉を確保して「街おこし」を図った町が2007年に約1700メートル掘削し、約28度の自前の源泉湧出(ゆうしゅつ)に成功。「こんぴら温泉いこいの湯」として08年4月から1立方メートル当たり280円で供給を開始した。

 しかし、1日130トンを見込んだ湧出量が30~40トンにとどまったため、供給開始1カ月後に源泉に水道水を加えるようになったという。施設側には加水の事実を伝えず、湯をくみ上げる穴に水道管から直接水を入れていた。

 町によると、初年度の08年度は源泉約1万2100立方メートルに対して約1万4500立方メートルを加水。09年度には約9900立方メートルに対して約1万8900立方メートル、今年度は8月末までで約4500立方メートルに対して約8800立方メートルを加水していた。湧出量が極端に少なかった昨年7月には源泉328立方メートルに対し約5.4倍、今年8月にも357立方メートルに対し約6.8倍の量を加水していた。

 昨年夏、供給先のホテルから「温泉が薄いのではないか」と指摘を受けたが是正せず、加水の事実も知らせていなかった。一方で町は条例の規則で、旅館やホテルに対し、成分低下を防ぐため加水しないよう求めていた。

 今年6月、小野正人町長の就任に伴い町業務の見直しが進められ、水道使用料の収支調査で事態が発覚した。町は29日、ホテルや旅館の関係者に加水の現状を説明した上で、温泉法の不正表示に当たる恐れが生じるため、水道水が加えられていることを明記した温泉の成分表を各浴場に掲げるよう求めた。同法の施行規則は加水や加温の表示などを温泉施設に義務付けているが、環境省の担当者は「源泉の供給者への表示義務は想定されていない」としている。ただ、「悪質なら、景品表示法の不当表示に当たる可能性はある」と指摘している。

 前町長の山下正臣氏は取材に対し「供給施設に使用量を減らしてもらう交渉をしたこともあったがうまくいかなかった。『温泉』のイメージが低下してはいけないので加水が続けられた」と説明した。

 29日に記者会見した小野町長は「2年以上にわたり、適正な表示を怠ったことを心より謝罪したい。温泉の利用者や施設に対して本当に申し訳なく思っている。信頼の回復に努めたい」と話した。

 国土交通省などによると、琴平町には09年度約340万人の観光客が訪れ、約1割が温泉施設を利用したという。
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by yupukeccha | 2010-09-29 15:01 | 社会  

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