外来種のカニ、全国拡大の恐れ 沿岸の生態系に悪影響も

2010年7月7日15時2分 朝日新聞

b0161323_18421717.jpg 地中海原産で、東京湾などに侵入している「チチュウカイミドリガニ」は将来、ほぼ全国の海岸に勢力を広げる――。横浜国大の小池文人教授と奈良大の岩崎敬二教授が、そんな予測研究をまとめた。貝類や魚、海藻など様々な生物を食べるため、沿岸の生態系に悪影響を及ぼす恐れがあり、環境省は要注意外来生物に指定している。

 このカニは、甲の幅が6センチほどになり、在来種のイソガニなどに比べ体が大きい。日本では1980年代半ば、東京湾で初めて見つかった。外航船に付着して運ばれたか、船が重しに使うバラスト水経由で広まったらしい。その後、伊勢湾や大阪湾などにも飛び火した。

b0161323_18424720.jpg 調査では、チチュウカイミドリガニの過去約20年の分布拡大のしかたを解析。コンピューターシミュレーションで、今後の広がり方を予測した。主な分布域は、今後数年は関東・東海地方と大阪湾周辺、四国と九州の一部などにとどまるが、20年後には、北海道や東北を含む広い範囲に拡大。200年後には北海道から九州にかけて、日本列島のほぼ全域に広がるとの結果が出た。

 在来のカニなど生態系への影響は詳しく分かっていないが、繁殖力が強く、環境省は「分布を拡大しつつあり、在来種と競合する可能性がある」とみている。小池教授は「このカニは幅広い温度帯で暮らせる。このままでは日本の海岸の生態系は確実に変わる。船体への付着を防ぐ技術開発などを進めるべきだ」と話す。

 東京湾で外来種の調査をする東邦大の風呂田利夫教授によると、原産地の地中海では食用にされるが、日本ではほとんど利用されていない。捕獲して試食した小池教授は「味はワタリガニに似ているが、食べられるところはあまりない」と話している。(山本智之)
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by yupukeccha | 2010-07-07 15:02 | 社会  

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