「天安門」の日記出版取りやめ 憶測呼ぶ李鵬氏の胸中

2010年7月7日 朝日新聞

 中国の理系大学の名門といわれる北京理工大学のキャンパスは6月21日、静かな緊張に包まれていたそうだ。

 学長たちが厳かに校内に迎え入れた白髪交じりの老人は、元首相の李鵬氏(81)。同校の前身は、李鵬氏が学んだ延安自然科学院だ。創立70周年を迎えた母校に、李鵬氏は祝福を伝えに来たという。

 中国で引退後の国家指導者の動向が伝えられることは多くない。ただ、北京の観測筋がこの訪問い注目した理由はそれだけではない。6月になって、1989年の天安門事件の際の李鵬氏の「日記」の出版をめぐり、騒ぎが生じていたからだ。

 当時、首相として学生らへの弾圧を進めたとされる李鵬氏の日記は当初、6月22日に香港の出版社から出版されることになっていたが、「著作権問題」を理由に直前になって取りやめた。日記の内容とされる文章がネット上に流れたり、別の出版社が日記の内容だとする本を出版したりもして、話題になっていた。

 天安門事件は今も中国政治の暗部だ。出版取りやめは、「胡錦濤国家主席ら現指導部の面々についての言及があるため、圧力がかかった」といった見方が出ていた。北京の外交筋は「李鵬氏は日記を公開したかったのだろう。自分だけが事件の『悪役』とされているが、ほかの指導者たちも同調したことも明らかにしたかったのでは」と見る。

 6月21日、長男の李小鵬氏(51)が山西省の副省長から常務副省長に昇格する人事が発表されたことも、憶測に拍車をかけた。李小鵬氏は胡政権の「次の次」の指導者候補ともいわれ、日記出版と昇格人事の関係がうわさされた。

 李鵬氏の心中は分からない。ただ、母校を訪れた際にはこう語っていたそうだ。

 「70年の栄光の月日が過ぎた。『実事求是』(事実に基づき、真実を求める)との開校の伝統を堅持して欲しい」(北京=古屋浩一)
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by yupukeccha | 2010-07-07 02:00 | アジア・大洋州  

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