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「美容クリニック」経営者ら逮捕、無許可で開設容疑

2010年6月17日15時1分 朝日新聞

 「美容クリニック」をうたった無許可の診療施設で、医師の指示を受けずに看護師が医療行為をしていた疑いが強まったとして、神奈川県警は17日午前、横浜市西区で「横浜フェリスクリニック」を経営していた川村徹也容疑者(31)=同区=ら2人を、保健師助産師看護師法(保助看法)違反(医療行為の禁止)と医療法違反(無許可開設)の疑いで逮捕した。

 捜査関係者によると、川村容疑者は美容サロン運営会社「Clever」(同市中区)の元経営者。同社が運営していた横浜フェリスクリニックで、看護師で従業員の関谷明子容疑者(30)=同市都筑区=が医師の指示がないまま、同市の無職女性(35)ら3人にビタミン剤点滴などの医療行為をした疑いがある。

 川村容疑者は市の許可を得ずにクリニックを開いていた疑いもあり、県警は法人としてのCleverも医療法違反容疑で書類送検する方針だ。

 クリニックの無許可開設は今年2月、横浜市の調査で発覚。県警も同法違反の疑いで家宅捜索した。

 同市の調査によると、川村容疑者は昨年7月、常勤医がいないままクリニックを開設。今年1月まで、非常勤医3人の態勢で点滴やレーザー脱毛などをしていた。

 しかし、実際にはこの間、非常勤医が診療したのは週1回程度の計29日間だけで、ある医師は1日しか診療に来ていなかったという。

 保助看法は、看護師が医師の指示なく医薬品を渡したり、診療機器を使ったりする行為などを禁じている。県警は、同クリニックで非常勤医がいない時に看護師資格を持つ従業員が医療行為をしていた疑いが強いと判断した。(山本孝興)

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 今回の事件では具体的な被害は確認されていない。しかし、医師でない従業員によるレーザー脱毛などが客に後遺症を与え、トラブルになる例は一般のエステティックサロンなどでも出ている。件数が増えているため、厚生労働省は2001年、レーザー脱毛などを医療機関でしかできない「医療行為」とする通知を出している。

 全国の消費生活センターに寄せられる美容医療に関する相談も増加傾向にあり、09年には247件に上った。「高額のレーザー脱毛を医師でない女性から受けた」「シミ取りを予約したが、医師が不在で看護師が施術すると言われた」などの内容で、同センターも問題視する。

 神奈川県警が、事例が少ない保助看法違反を適用してまで立件に踏み切ったのは、エステのような施設と医療の境界があいまいな現状をつく悪質性を問題視したからだ。

 今回の事件では、医療機関である「クリニック」をうたう施設を無許可で開き、行えないはずの医療行為を従業員にさせていた疑いがある。本来は医師の常勤が義務づけられる「クリニック」の看板を悪用したといえる。

 美容外科医でつくる日本美容医療協会の原口和久事務局長は「利益優先の施設では同様のところもあるのではないか」と話す。一方で「美容医療を単なる美容行為と一緒に考える人も多い」と客側の認識の希薄さも指摘している。

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 〈美容クリニック〉医療機器を使ったレーザー脱毛などは医療行為にあたり、一般のエステサロンでは行えない。神奈川県などによると、「クリニック」は医療機関である診療所を指し、管理者に常勤医を置くことが義務づけられている。医療法は、エステなど医師のいない施設が診療所と紛らわしい名称をつけることを禁じており、「クリニック」を名乗ることはできない。

by yupukeccha | 2010-06-17 15:01 | 社会  

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