日系工場、ベトナム再び スト続出、中国リスク回避

2010年6月25日1時42分 朝日新聞

 ベトナムへの日系企業の進出が再び加速している。隣の中国が、ストライキの頻発や、通貨・人民元の先高感で不人気となり、再び進出の機運が高まったようだ。

 ハノイの中心部から東に80キロ。住友商事が開発を進める「第2タンロン工業団地」にはいま、日系企業がひっきりなしに訪れている。

 「この2カ月で急に問い合わせが増え、4件成約した。7月までにさらに3件がまとまる予定です」と工業団地ゼネラル・マネジャーの升岡裕善さん。

 リーマン・ショックで落ち込んだ人気が再び高まってきた理由を升岡さんは、「世界経済が復調し始めたことが大きい」と言う。だが、それだけではないようだ。

 「やっぱり、中国に生産を集中するのは心配だ」。この22日に視察に訪れた大手メーカーグループ企業の幹部は、升岡さんにこう漏らした。

 幹部の念頭にあるのは、中国のホンダやトヨタ自動車の部品工場で頻発しているストライキ。中国に工場を持っているが、一部ベトナムに生産を移したいという。

 浄水器のタカギ(北九州市)は中国かベトナムかで迷った末、昨年12月にベトナムで工場を開所した。「安い人件費や勤勉な国民性に加えて、中国の反日デモが背中を押した」と同社の高城幹次郎ゼネラル・マネジャーはいう。

 今年1月に航空機部品工場の開所式を行った日機装(東京)は、上海で、都市計画の都合との理由で一方的に工場を移転させられたり、合弁契約でトラブルに巻き込まれたりした苦い経験がある。ベトナム現地法人の五十嵐修社長は、「ベトナムにはこうしたリスクがない」と話す。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、09年に約1億4千万ドル(126億円)だった日本の対ベトナム直接投資は、今年は5月末までに11億ドルを突破した。

 ジェトロ(ホーチミン)の中西宏太投資アドバイザーは「企業は半年前から、中国での人件費の急上昇や人民元高を予想し、進出先をさがし回っていた。元高が現実となりつつあり、輸出企業のベトナムへのシフトは今後も増えていくだろう」と話している。(ハノイ=高野弦)
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by yupukeccha | 2010-06-25 01:42 | アジア・大洋州  

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