逮捕の古市容疑者 夢破れ染まった闇社会 野球賭博
6月24日21時19分配信 産経新聞大相撲の野球賭博に絡み大関、琴光喜関(34)=本名・田宮啓司=を恐喝したとして逮捕された元力士の古市満朝容疑者(38)。兄弟で角界入りし、同世代の「若貴」兄弟とともに将来を嘱望されたが故障で夢破れた。闇社会に染まるまでに転落。再び脚光を浴びたのは、相撲では手が届かなかった「大関」を恐喝したことだった。
相撲関係者によると、古市容疑者は大阪府交野市出身。父親は名門アマチュア道場として知られる「古市道場」を運営。今回の野球賭博で警視庁に事情聴取された幕内、豪栄道関(24)=本名・沢井豪太郎=も育てた。
古市容疑者は入門後、昭和63年に15歳で初土俵。180センチ、170キロという恵まれた体格で、平成5年には幕下に昇進した。翌年にはしこ名を「古市」から「若隆盛」に変えたが、ひざを故障し9年夏場所を最後に25歳で引退。土俵生活は10年で終わった。
子供のころから相撲一色で育った古市容疑者。夢を失い、急速に転落した。
地元である大阪府枚方市で始めたちゃんこ料理屋も経営に失敗。福岡市で風俗店を実質的に経営したが、16年6月にはアルバイトの男とトラブルになり、刺されて負傷した。その後は暴力団関係者を名乗り、闇社会との結びつきを強めていったようだ。
一連の問題が発覚した今月上旬、古市容疑者は大阪府の実家に電話。「恐喝はしていない。心配しなくて大丈夫」と話した。母親は逮捕前に「幕下だった息子が縦社会の大相撲の世界で、大関を脅すことができるのだろうか」とうなだれたが、逮捕後には「息子が迷惑をかけて申し訳ない気持ちだ」と語った。
古市容疑者の父親は昨年4月、相撲道場について産経新聞の取材を受けた際、「強さだけを追い求めては、人は道を外れてしまう。私の道場からそんな人間は出したくない。周囲の人をいたわり、本当の強い人間をこれからも育てていきたい」と語っていた。
24日夜。捜査本部が置かれる警視庁本所署に入る捜査車両の後部座席。長髪にサングラスをかけ、黒いシャツ姿で両脇を抱えられた古市容疑者は、報道陣が浴びせた無数のフラッシュにも、表情を変えず前を見据えていた。
by yupukeccha | 2010-06-24 21:19 | スポーツ