反捕鯨の世論を意識 豪ラッド政権、選挙対策の側面も

2010年5月28日19時21分 朝日新聞

 【バンコク=塚本和人】オーストラリアのラッド政権が28日、南極海での日本の調査捕鯨の廃止を求めて来週にも国際司法裁判所(ICJ)に提訴すると明言した。豪州では年内にも総選挙が行われる見通しで、内政面で逆風にさらされるラッド政権は、反捕鯨の国内世論を背に強い姿勢を打ち出さざるをえなくなったことなどが背景にあるとみられる。

 豪側は提訴の法的根拠を明示していないが、豪ニューサウスウェールズ大学のデイビッド・リアリー上級研究員によると、日本の調査捕鯨が科学目的での捕鯨を認めた国際捕鯨取締条約に違反しているとの観点から提訴する可能性が高いとみられる。一方、日本側は同条約に基づいて合法的に調査捕鯨を行っており、「裁判に持ち込まれても負けることはない」(日本政府関係者)との立場だ。

 豪州が提訴の理由の一つとしている国際捕鯨委員会(IWC)での交渉は、6月末にモロッコで開かれる年次総会に向けた詰めの協議が続いている。IWCは今年4月、日本が求める沿岸小型捕鯨の再開を認める代わりに、南極海での調査捕鯨の捕獲枠を大幅に減らす新たな議長提案を発表、議長提案を軸に交渉が進んでいる。豪側は南極海での5年以内の段階的廃止を盛り込んだ独自提案を提出しているが、加盟国に支持は広がっていないことも背景にある。

 高い国民人気に支えられてきたラッド政権は昨年末以降、野党を中心に「公約が守られていない」との批判が噴出。今年5月初めには税率40%の資源超過利潤税の導入を発表したが、資源関連企業など経済界からも猛反発を食らっている。最新の世論調査でもラッド氏支持率は49%と初めて50%を割り込んだ。「ラッド政権は危険水域に入りつつあり、内政の延長ではないか」(日豪関係筋)との見方も強まっている。

 日豪両政府は、捕鯨問題によって関係を損なわないように努力するとしているが、豪ロウィ研究所のマルコム・クック東アジア研究部長は「今回の提訴を引き金に、双方で反発する国民感情があおられる。政治家も世論に対応するため両国関係にも影響が出るだろう」とみる。
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by yupukeccha | 2010-05-28 19:21 | アジア・大洋州  

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