ミャンマーで記録的猛暑 死者200人超、水不足深刻

2010年5月31日1時4分 朝日新聞
  
b0161323_125841.jpg 【ヤンゴン=藤谷健】ミャンマー(ビルマ)が記録的な猛暑に見舞われている。1年で最も暑い3~5月に最高気温の記録を更新。暑さによる死者が増えているほか、水不足も深刻で、水力発電による電力供給が減り、停電も頻発している。年内に総選挙を控える軍事政権は、電気を住宅地に優先して供給したり、物価の抑制策を打ち出したりして、国民の不満を抑えようとしている。

 最大都市ヤンゴンでは25日にまとまった雨が降ったものの、暑い日が続く。日差しは強く、外にいるだけで汗が噴き出してくる。20年来の日本の中古車を使ったタクシーは、冷房もきかず蒸し風呂状態。夕方になっても暑さは引かず、屋外の喫茶店も客はまばらだ。

 地元英字紙のミャンマータイムズによると、5月12日にヤンゴンで最高気温が42.5度に達し、42年ぶりに記録を更新した。気温は例年よりも5~6度高く、38度を超える日が45日間も続いた。中部マンダレーでも12日に5月の暑さとしては64年ぶりとなる45.0度を記録。首都ネピドーでは11日、44.0度となり、気象当局に記録が残る27年間で最高となった。

 この暑さによるとみられる死者も相次いでいる。中国の国営新華社通信がマンダレーの地元紙の報道として伝えたところによると、5月半ばの週末だけで230人が死亡。病院関係者によると、多くは高齢者や子供で、脱水症や熱中症によるものだ。また貧しい人々の葬儀を無料で行う市民団体によると、ヤンゴンでの1日あたりの葬儀が、4月以降は70~80件と2倍近くに増えた。

 昨年11月以来半年間、雨がまったく降らなかったヤンゴンなど、各地で水不足が深刻だ。国連当局者によると、農閑期にあたり、農作物の被害はまだ少ないが、長引けば今後影響が出かねないという。一方、池や湖、川が干上がり、魚が大量に死んだと伝えられ、漁業への深刻な被害が懸念されている。

 電力不足も顕著だ。外交筋によると、電力の半分を水力発電に依存するヤンゴンでは、需要の3分の1程度しか供給できていない。このため5月10日から工業団地向けの送電が停止。ホテルやショッピングモールなどでも停電が相次ぎ、自家発電を余儀なくされている。

 年内に総選挙を予定する軍政は、国民の不満を抑えるのに躍起だ。国営紙「ミャンマーの新しい灯」や国営テレビを通じて、軍事政権の翼賛組織などが住民に水を配る様子を連日報じている。ヤンゴンでは電力を優先的に住宅地に供給。また価格が高騰しかねないとして、コメやタマネギの輸出を制限した。

 こうした政策を打ち出すのは、2007年を始め、これまでの反政府デモが食料価格の高騰やバス料金の値上げなど、暮らしに直結する問題がきっかけで起きているからだ。国軍は総選挙後も、軍の息がかかった政党などを通じた支配の継続を狙う。しかし国民の軍政に対する不信感は根強く、選挙に影響しかねない悪い芽を摘み取っておきたいと考えている。
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by yupukeccha | 2010-05-31 01:04 | アジア・大洋州  

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