バンコク、和解の祈り 強制排除から1週間

2010年5月27日1時27分 朝日新聞

 【バンコク=小林哲】バンコク中心部を占拠したタクシン元首相派の強制排除から26日で1週間がたった。街は平穏を取り戻しつつあるが、2カ月に及んだ混乱は、市民生活や経済に大きな傷を残し、社会を分断した対立の溝も消えていない。

 元首相派が占拠を続けたルンピニ公園。1週間前、武装した治安部隊の突入起点となった入り口広場で同日早朝、バンコク行政当局主催の式典があった。周辺のオフィスで働く従業員やボランティアらが食べ物や飲料水などを招待された約1千人の僧侶に贈った。当局は、仏教以外の宗教関係者の参加も呼びかけ、市民の「和解」を演出した。

 印刷会社を経営する女性(49)は「国民の間に格差が広がり、衝突はいつか必ず起こるはずのものだった」と振り返った。約2千バーツ(約5500円)分の食べ物を持参した。貧しい労働者の月給を上回る額だ。「自分たちの利益だけでなく、社会のことをみんなで考えなければいけないと思うようになった」

 元首相派の集会ステージがあった交差点の近くでは、放火で焼け落ちた建物の後かたづけが続く。若者が集まる「サイアム・スクエア」のエステサロンのマネジャー、ティッパワンさん(35)は「(元首相派と政府の)どちらも支持できない。いい加減にしてほしい」。商業地区の占拠が続いた約1カ月間、1日1万3千バーツ(約3万6千円)あった売り上げがゼロに。入居するビルは焼失した。

 一方、元首相派の集会に何度も参加したスラム街に住む男性(47)は「後悔はしていないが、民主主義が実現しなかったのが悔しい。政府は一日も早く総選挙をすべきだ」と憤った。

 現地紙がタイ政府の試算として報じたところでは、騒乱に伴う経済損失は1450億バーツ(約4千億円)。タイ経済を支える観光業への影響が特にひどく、10%のマイナスを見込む。2003年のSARS流行時の落ち込みに匹敵し、回復まで5カ月はかかるとみられる。
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by yupukeccha | 2010-05-27 01:27 | アジア・大洋州  

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