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一人親方増える建設業 労働者なのに補償なし

2010年5月9日 東京新聞

 実態は工務店や建設会社に雇われた労働者なのに、コスト削減のために請負契約の形で働かされる「一人親方」(個人請負労働者)が増えている。工務店などにとっては社会保険料などの負担が減り、「解雇」も容易にできるという“うまみ”がある一方で、労災保険に未加入の一人親方は、事故に遭っても補償が得られないケースも多い。労働者側は「収入が不安定で保険にも入れない」と法的保護を訴えている。(社会部・砂本紅年、橋本誠)

 「いつも同じ下請け会社の工事現場で働いていても、労働者とは扱われない。現場に『無事故達成○○日』と書かれてあっても、一人親方の事故は含まれない」。大工や左官が加入する東京土建一般労働組合の花形伸二さんは指摘する。

 本来なら、工務店などで見習工や職人として働き、腕を磨いて独立するまで七、八年はかかるが、「最近は若くて技術もないのに、工務店から『明日からは独立した職人として請負契約にしてくれ』と言われるケースが目立つ」という。

 総務省の労働力調査で、一九九七年に七百万人近くいた建設業の就業者は今年二月までに約五百万人に減少。一方、従業員を持たない自営業者は二〇〇〇年以降五十四万~五十八万人の間で推移し、全体に占める割合は一割強に高まっている。全国建設労働組合総連合(全建総連)の宮本一労働対策部長は「企業は不況で人を雇うのが負担になり、一人親方が増えた」と言う。

 一人親方は自営業の扱いのため、労働基準法や最低賃金法は適用されず、劣悪な労働環境にさらされがちだ。神奈川県内のマンション工事中、ゼネコンの下請けの大工が指三本を切断した事故の裁判で、最高裁は〇七年、「労働基準法上の労働者に該当しない」として、ゼネコンが加入していた労災保険は適用できないとする判決を出している。

 全建総連傘下の労組の多くは、一人親方を対象にした任意の労災保険の事務組合を運営。八九年に三万人だった加入者は、〇八年に十二万八千人と四倍以上になったが、それでも大半の一人親方は収入が不安定なため、未加入のままだ。

 個人請負労働者は建設関連のほか編集や不動産販売、保険代理店などで見られ、国勢調査からの推計では二〇〇〇年の約六十三万人から〇八年は約百十万人まで増加している。

by yupukeccha | 2010-05-09 09:00 | 社会  

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