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【時視各角】トヨタをむやみに叩くな

2010.02.11 15:14 中央日報

 トヨタ内部では今回のリコール問題を‘渡辺の呪い’と密かに話しているようだ。渡辺捷昭氏は05年から4年間にわたりトヨタを指揮した人物だ。渡辺氏が最高経営陣に進入した00年から年間生産能力は1000万台へと2倍に増えた。トヨタが世界トップになり、‘渡辺神話’は完成された。しかし明るい光であるほど影も暗い。トヨタは新しい工場をすべて海外に設立した。専門人材が足りなくなると、次長を送っていたところに課長を派遣し、管理を任せた。最近の問題を引き起こした部品は、渡辺時代に企画して購入したものだ。

‘呪い’に傍点をつけるトヨタマンは恐れている表情だ。不吉な予感に悩まされているのだ。まず米国高速道路巡察隊員が死亡する直前、慌てて911電話メッセージを残したのがその最初だ。加速ペダル・ブレーキなど命にかかわる‘セキュリティー部品’が俎上に載せられたのも問題だ。米国民の敏感な情緒を刺激しただけに破壊力は爆発的だった。根本原因が明確にならないままリコールが行われるのもすっきりしない。フロアマットや加速ペダルを交換すると問題が解決するという保証はない。「いくらトヨタが積極的なリコールをしても消費者の漠然とした不安心理までは容易に拭えないだろう」。 韓国消費者院ソン・ソンナク消費者安全局長の診断だ。

しかし世界で1000万台の車をリコールできる企業がどれほどあるだろうか。トヨタの底力は注目すべき部分だ。怪力の源泉は60兆ウォン(約4兆5000億円)を超える内部留保金。トヨタはこれを基礎に日本国内で短期間に230万個の加速ペダルを調達し、米国に空輸した。米国には1300以上のディーラー網とサービスセンターを置いている。米国政府とメディアが圧力を加えると、トヨタは自信あり気にリコール カードを持ち出した。莫大な資金力と世界を網羅する物流網、整備人材、詳細な顧客情報がなければ不可能なことだ。

 米国の政界・メディアが攻撃するトヨタの電子制御装置はパンドラの箱だ。どの自動車メーカーも完全な自信を持てない部分だ。最近、英語圏では自動車のエンジンをかける時、「ignite」と「boot」という表現を混ぜて使う。自動車の電子比率が35%に達し、コンピュータ-と変わらなくなった。部品の数と重量を減らして燃費を高めるには電子化しかない。しかし機械屋も電子には弱い。高熱と寒波に露出される自動車の電子部品はいつ電磁波の干渉を起こすか分からない。機械的な欠陥とは別に事故が発生しても再現や原因の立証が難しい。ベンツやBMWなど高級車も同じ悩みを抱えている。

ビッグ3などライバル企業も大っぴらにはトヨタを非難しない。反撃の恐れがあるからだ。すでに世界自動車市場は超成熟段階に入っている。技術は平準化され、コスト競争力が生きる道になっている。米国はトヨタの営業利益の半分を占める主力市場だ。決してあきらめることはできない。リコール問題が落ち着きしだいトヨタが大々的な割引行事を行うと予告するのもこのためだ。市場シェアを取り戻そうと準備しているのだ。

リコール問題がトヨタの根本的な競争力を損ねたわけでもない。トヨタには愛知県出身の忠誠心あふれる中間管理者があちこちにいて、現場をリードしている。安定した労使関係と忠誠度の高い顧客は大きな資産だ。負債比率ゼロに加え、蓄積してきた実弾も大量だ。リコール問題でトヨタがふらつくのは事実だ。円高は脅威的で、100万台以上の過剰設備も負担になる。しかしトヨタは危機を克服して成長してきた企業だ。敗戦と石油ショックを乗り越えて一つずつ前進してきた。トヨタはうつむいている時がもっと怖い。世界1位を目の前にしても「日本が自動車で独自発明したのはサイドミラーをたたむ装置だけ」と低姿勢を維持する企業だ。世界メディアの過度な‘トヨタたたき’を眺めながら、安度眩(アン・ドヒョン)の詩「お前に尋ねる」の‘煉炭の灰’を思い出した。「トヨタをむやみに蹴飛ばすな/お前は/一度でもトヨタほどになったことはあるのか」。もう感情的になるのはやめて、トヨタがどのように試練を解決するのかに関心を向ける時だ。

イ・チョロ論説委員

by yupukeccha | 2010-02-11 15:14 | アジア・大洋州  

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