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トヨタ、新型プリウス全車を無償改修へ 欠陥は認めず

2010年2月5日 朝日新聞

 トヨタ自動車のハイブリッド車、新型「プリウス」のブレーキが瞬間的に利かなくなる問題で、同社は5日、国内外で販売した30万台余りについて、車の欠陥を認めないものの、すべて無償で改修する方針を固めた。米国ではリコールし、日本では欠陥の有無に関係なく無償改修する「サービスキャンペーン(自主改修)」制度を使う見通し。品質問題への対応が遅いとの批判が強まってきたため、早期に対策を示して信頼回復を目指すことにした。

 対象は昨年5月以降に販売した3代目プリウス。今年1月から生産した車は、すでに改修を施しているため、台数は日本で18万台前後、米国で10万台前後となる。日米以外でも、オーストラリアなど苦情が出ている国では、その国の制度に従って対応する方針だ。

 プリウスのブレーキ問題では、トヨタや日米の当局に200件以上の苦情が寄せられた。

 多くは、滑りやすい路面を低速で走行中、1秒前後、ブレーキが利かなくなるというもので、トヨタの調査では、車輪がロックしてハンドル操作が不能にならないようにするアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)の制御ソフトの問題という。

 このため改修は、この制御ソフトを変更する形で実施する。トヨタは先にアクセル部で延べ1千万台超のリコールを発表。これには約1千億円の費用がかかるとしているが、今回のプリウスの改修は台数が少なく、部品の交換を伴わないため、費用は少なくて済むとみられる。ただし、新車販売への影響は出るとみられる。

 トヨタはプリウスのブレーキ問題について、「ブレーキを強く踏めば車は止まる。フィーリング(運転感覚)の問題だ」(佐々木真一副社長)とし、あくまで欠陥ではないと主張している。

 このため、欠陥を認める認めないにかかわらず安全対策にはリコール制度が適用される米国ではリコールし、日本ではサービスキャンペーンとする方針。

 ただ、「運転感覚の問題」との説明は、理解しにくい部分がある。ブレーキが1秒前後利かない事態は、恒常的に起きるわけでなく、いつ起きるかわからないからだ。

 トヨタ車の品質問題については、ラフッド米運輸長官は3日夜、トヨタの豊田章男社長に電話会談で安全への取り組み強化を要請。鳩山由紀夫首相は4日夜、直嶋正行経済産業相に問題の報告を求め、首相は「迅速に対応してもらい、早く信頼を回復して欲しい」と話したという。消費者の不信感の高まりようによっては、欠陥認定に追い込まれ、日本でもリコールすることになる可能性がある。

 プリウスとブレーキ構造が似ているハイブリッド車トヨタ「SAI」やレクサス「HS250h」について、対応する必要があるか否かは調査中という。(中川仁樹、久保智)

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 〈自動車の改修制度〉 設計や製造過程で不具合が見つかった場合、メーカーが欠陥を認めるかなどで対応は三つに分かれる。「リコール」は道路運送車両法に定められた保安基準に適合しない重大な欠陥の場合。国土交通省に届け出て、3カ月ごとに改修状況を報告する義務がある。「改善対策」は保安基準には規定されていない重大な欠陥の場合に行う。国交省に届け出て、速やかに改修する必要があるが、報告義務はない。「サービスキャンペーン」(自主改修)は商品性の向上を目的にメーカーが自主的に改修するもので、国交省には通知するだけでよい。米国では欠陥を認定するしないにかかわらず、リコール扱いとなる。

by yupukeccha | 2010-02-05 23:59 | 経済・企業  

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