<ダム事業>地方負担1兆円 返還請求最大4500億円
10月11日2時32分配信 毎日新聞国と水資源機構が建設・計画中のダム事業(56事業)について、国に負担金を支出した37都道府県の支出総額が約1兆円に上ることが分かった。うち15都府県の知事が毎日新聞の調査に「中止の場合は返還を求める」と明言した。政府は、本体工事に入っていない31ダムについて、事業継続の是非を検討する見通しだが、これら31ダムに対する負担金総額は計約4500億円。今後、これだけの額の返還を求められる可能性がある。
56事業の総事業費は6兆円以上に上るとみられ、利水や治水の受益が見込まれる地方自治体が負担金を支出。都道府県のほか、市なども負担している。
毎日新聞は47都道府県知事にダム事業負担金に関するアンケートを実施し、全員から回答を得た。負担金を支出しているのは37都道府県で総額は約1兆300億円。支出は1960年代から始まっており、八ッ場(やんば)ダム(群馬県)は群馬や東京など6都県から約1670億円。丹生ダム(滋賀県)には滋賀や大阪など4府県が約103億円を支出している。神奈川、広島など10県は実施中のダム事業がなく、負担金を支出していない。
また、アンケートでは、事業が中止された場合、15都府県の知事が負担金の返還を求める意向を示した。今年度、工事が凍結されるダム事業では、思川開発事業を抱える栃木県の福田富一知事、山鳥坂(やまとさか)ダム事業が行われてきた愛媛県の加戸守行知事が返還要求の考えを明らかにした。八ッ場ダムについては、支出した6都県のうち、群馬、東京、千葉、茨城、栃木の5知事が返還を求める構えだ。
このほか、大阪府の橋下徹知事は「公平な返還のルール作りを」と提言。鳥取県の平井伸治知事は、県営の関連水力発電事業などについての補償も求める意向を示した。沖縄県の仲井真弘多知事は「ケース・バイ・ケースの対応」とし、一部ダム事業について返還を求める考えを明らかにした。
前原誠司国土交通相は就任後、全国で進行中のダム事業について見直す方針を表明し、八ッ場ダムと川辺川ダム(熊本県)の中止を明言。9日には、国や水資源機構が進めるダム事業について、工事の新段階への移行を凍結する意向を表明している。【坂口雄亮、藤田剛】
◆ダム事業負担金の返還要求方針◆
北海道 △
青森 △
岩手 △
宮城 ○
秋田 △
山形 △
福島 -
茨城 ○
栃木 ○
群馬 ○
埼玉 △
千葉 ○
東京 ○
神奈川 -
新潟 -
富山 △
石川 -
福井 △
山梨 -
長野 △
岐阜 △
静岡 △
愛知 ○
三重 △
滋賀 △
京都 △
大阪 ○
兵庫 △
奈良 ○
和歌山 ○
鳥取 ○
島根 △
岡山 -
広島 -
山口 -
徳島 △
香川 -
愛媛 ○
高知 ○
福岡 △
佐賀 ○
長崎 △
熊本 △
大分 △
宮崎 -
鹿児島 △
沖縄 ○※
○:中止の場合、返還を求める
△:返還要求の有無について回答を留保
-:該当事業なし
※沖縄県は一部ダムについて「返還を求める」と回答
by yupukeccha | 2009-10-11 02:32 | 政治