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菅家さん取り調べ録音テープ、検察内で保管 検事録音か

2009年8月11日3時6分 朝日新聞
  
菅家さん取り調べ録音テープ、検察内で保管 検事録音か_b0161323_8145625.jpg 栃木県足利市で90年に女児(当時4)が殺害された「足利事件」で再審開始が決定した菅家利和さん(62)=6月4日に釈放=に対し、宇都宮地検が、最終的に不起訴処分とした他の2件の幼女殺害事件について取り調べた際の様子を録音したテープが存在することが、検察関係者の話でわかった。録音は長時間に及び、菅家さんが録音に同意し、2件の犯行をいったん「自白」したのちに否認に転じる様子などが録音されているという。

 検察は06年8月から取り調べの一部の録音・録画を試行しているが、それ以前の時期で長時間に及ぶ録音が明らかになったのは異例だ。

 取り調べ担当の検事の判断で録音されたとみられているが、再審開始決定を契機に活発化している取り調べの全過程の可視化をめぐる論議にも影響を与えそうだ。

 検察関係者によると、録音テープは、足利事件の初公判を迎えた92年2月直前から約1年の間に、足利事件とは別の関連事件として、(1)79年に足利市内で行方不明となった保育園児(当時5)が殺害された事件(2)84年に足利市内で幼稚園児(当時5)が行方不明になり、殺害された事件――の計2件について、宇都宮地検検事が菅家さんを取り調べた際のものとされる。

 菅家さんは、91年12月に足利事件で逮捕、起訴された後、同月中に(1)の容疑で再逮捕された。翌92年1月に処分保留となったが、同年2月には(2)の容疑でも書類送検された。同地検は最終的に、93年2月に(1)、(2)の殺人容疑について「決め手になる物証に欠ける」として、菅家さんを不起訴処分にした。

 取り調べの録音は、92年1月に処分保留となった後、93年2月に不起訴処分となるまでの間に断続的に行われた。検察内部で保管されていた録音テープは、カセットテープで十数本に上るという。検事が、起訴、不起訴の判断をする際の参考にするために録音したとみられている。

 録音内容は、検事が菅家さんに録音の承諾を得る場面から始まり、当初は2件の犯行を「自白」した部分があったが、最終的に2件とも否認しているという。

 菅家さんが殺人などの罪で起訴された足利事件をめぐっては、菅家さんは一審の結審近くになって否認に転じ、控訴審の被告人質問で、自白に至った経緯について供述。任意の取り調べで警察官から、女児の肌着に残された体液とDNA型が一致したとする鑑定結果をもとに「科学的証拠が挙がっている」と迫られ、うその内容を自白したと訴えた。だが、一、二審判決はともに自白の内容が「信用できる」とし、DNA型鑑定結果とともに、有罪認定の根拠とし、00年に最高裁で有罪判決が確定していた。

 だが、再審請求審でDNA型再鑑定が行われ、今年5月に「一致しない」とする結果が出たことから、東京高検は6月4日、刑の執行を停止する手続きをとり、菅家さんは服役していた千葉刑務所から釈放された。最高検は同月10日、事実上の菅家さんの「無罪」を認め、謝罪した。

by yupukeccha | 2009-08-11 03:06 | 司法  

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