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<セブン-イレブン>揺らぐコンビニ商習慣 価格統制困難に

6月23日2時8分配信 毎日新聞

 加盟店に弁当などの値引き販売を不当に制限していた疑いがあるとして、セブン-イレブン・ジャパンが、公正取引委員会から排除措置命令を受けた。経営の裁量が広がる加盟店主や、買う店の選択肢が増える消費者からは歓迎の声が上がる一方、業界側には価格競争激化などで収益基盤が揺らぐ懸念もある。「経営指導」名目で加盟店の販売価格を「統制」するのが、コンビニ各社に共通する商習慣だっただけに、排除措置命令の影響は大きく、業界はビジネスモデルの転換を迫られそうだ。【佐藤岳幸、窪田淳、秋本裕子】

 コンビニ業界はこれまで、定価に近い販売価格を維持しながらも、売れ筋商品に集中した品ぞろえや24時間営業、便利な立地などの「利便性」で消費者の支持を獲得し、成長を続けてきた。ただ、価格競争の波は流通業界の「勝ち組」であるコンビニにも押し寄せている。排除命令によって本社による加盟店への「価格統制」が困難となり、独自に値引きをする動きが広がれば、コンビニ業界の収益基盤は大きく揺らぐ。

 「棚にたくさんの商品がないと買わないのが顧客心理」(新浪剛史・ローソン社長)で、一定の廃棄を前提とした仕入れを加盟店に「指導する」のが業界の常識とされる。販売期限が短い弁当で「売り切れ」が常態化すれば、利益を得る機会を失う。だからこそ、多くの加盟店が本部の「指導」を受け入れてきた。

 しかし、スーパーなどとの顧客の囲い込み競争が激化する中、不採算店の増加ペースが速まり、本社と加盟店の不協和音は増している。セブンの場合、今年2月末までの1年間で874店が出店する一方、610店が閉店した。閉店数は06年2月期(407店)に比べ、約5割増だ。ローソンやファミリーマートなど、他チェーンも同様の状況で、関東地方のあるセブン加盟店主は「店舗を増やせばもうかる本部と、競争相手が増えるだけの加盟店とでは向いている方向が違う」と話す。

 消費者の買い控えが鮮明になる中、既にコンビニ本社のコントロール下での価格競争は始まっている。セブンはメーカー製の日用品などを順次値引きしているほか、ローソンは4月から105円の低価格総菜を発売。コンビニの全国の平均客単価は5月に前年同期比1.5%下落し、6カ月連続でマイナスになった。

 今回の排除命令で、加盟店による大規模な値下げが始まれば、その地域では収益が低迷しているコンビニも追随を余儀なくされる。スーパーをも巻き込んだ販売競争の激化は避けられず、大手コンビニ首脳は「下位のチェーンには立ち行かなくなるところも出てくる」と危機感をあらわにする。流通業界の勝者にも逆風が強まっている。

by yupukeccha | 2009-06-23 02:08 | 経済・企業  

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