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台湾でハブ空港建設が活発 中国との関係改善を追い風に

5月29日18時53分配信 産経新聞

 中国との関係改善を追い風にアジア圏をターゲットにした国際ハブ空港の建設構想が、台湾で本格化している。既存の台湾桃園国際空港を大幅拡張して関税などで優遇される自由貿易地域(FTZ)に指定し、部品の集結、製品化、受発注、出荷までを空港で完結させる「航空都市」の建設だ。アジア経済圏のほぼ中心に位置する台湾ならではの構想だが、成功には中国の巨大市場との一層の結びつきが不可欠。こうした“中国依存”を不安視する向きもあり、台湾世論は対中傾斜の是非で揺れている。(台北 犬塚陽介)

 「中台を結ぶ空路直行便が利用できるいま、『航空都市』がなけれは、空港の潜在能力が完全に無駄になってしまう」

 台湾の馬英九総統は4月29日、航空都市構想をアピールする国際会議で演説し、この1年で馬政権が推進する経済面での中国との融和政策の利点を強調した。

 現地で「桃園航空城」と呼ばれる官民共同の航空都市構想は、2020年の完成を目指して今年から本格化した大型プロジェクト。国際ハブ空港化をにらんで3本目の滑走路と第3ターミナルを増設するなどし、混雑の解消と利便性のさらなる向上で他国の空港との差別化を図っていく。

 中でも目玉となるのは、商業、物流施設を空港に完全に一体化させて輸送費を抑え、関税の優遇措置を導入してコストを削減する“自己完結型”のFTZ構想だ。国内外から350億ドル(約3兆5000億円)の投資が見込まれており、8万人の雇用創出効果も期待されている。

 FTZでは物流センターを新設。商品の収納庫や加工施設も隣接する。国外からのアクセスを活性化するため、90日間有効の特別ビザの発行も検討中で、規制の多かった中国人ビジネスマンにも同様の優遇措置が適用されるという。

 空港のある桃園県の県長(知事)で、国民党の副主席を務める朱立倫氏(47)も「アジア経済圏の中心にある立地の良さと、中国との直行便が開通した時期の良さ。航空都市が(アジアの)流通の中心地になる可能性は高い」と自信をみせる。

 ただ、計画の根底にある「良好な中台関係」が、航空都市計画が完成する10年後まで続く保証はない。台北市内で17日、馬政権に反対するデモに参加していた大学院生の女性(26)は「中国との深すぎる結びつきは、将来的には台湾の主権を脅かす」と懸念を示した。デモには主催者発表で60万人が参加。対中傾斜の是非は現在の台湾世論を二分している。

 ある台湾の高官は「胡錦濤(国家主席)ら中国本土の指導層は、日米との良好な関係を維持する観点からも中台関係の安定を望んでおり、今後10年は現状維持が続くだろう」としながらも、「その後の関係はわからない」と述べ、首を振りながらこう続けた。

 「現在の中台関係は生まれたばかりの赤ん坊だ。まだ、将来の就職先を心配するには早すぎる」

by yupukeccha | 2009-05-29 18:53 | アジア・大洋州  

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