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石原都政10年、「危機説」も 求心力低下の指摘

2009年4月11日15時0分 朝日新聞
  
 石原慎太郎・東京都知事(76)が11日、初当選から10年を迎えた。「東京から日本を変える」と訴え、ディーゼル車規制や五輪招致など国を揺さぶる派手な政策で脚光を浴びる半面、公約でつくった新銀行東京をめぐっては大きく株を下げた。任期は残すところ2年。求心力の低下とともに、途中辞職の「危機説」までささやかれている。

 「3期で辞めるなんて言わなきゃよかった。役人が動かない」

 石原知事はある市長にこうぼやいたという。07年知事選で「これが最後のご奉公」と言ったことが求心力の低下を招いた最大の原因だ。「政策は次の知事まで温存だよ」。職員からも知事の憂いを裏付ける声が聞こえてくる。

 石原知事は95年、衆議院での議員勤続25周年のあいさつで「政治不信を招いたのは自らの罪」と突然辞職した。知事は「自分の人生の選択は自分で決めますよ」と言うが、「求心力がなくなれば、任期途中で辞めるのではないか」という憶測が都職員や都議の間でまことしやかにささやかれ、いくつかの危機説が指摘されているのも事実だ。

 100年に1度と言われる経済危機により、現実味を持って語られているのが、「新銀行危機説」だ。

 新銀行東京の08年度第3四半期決算(昨年4~12月)の当期赤字は73億円。400億円の都税が追加投入された昨年4月以降も、赤字体質を抜け出せないでいる。決算の数字に一喜一憂するのは、行員より、むしろ知事ら都庁幹部とも言われるほどだ。

 「棄損しない」という約束の400億円が、仮に1円でも無になれば大変だ。石原都政を支えている与党議員でさえ、「400億円を棄損したら、知事には辞めてもらわざるをえない」と話している。

 現実味はともかく、東京が立候補した2016年五輪の開催都市が決まる10月の「五輪危機説」もある。

 知事は06年12月、「五輪招致を言い出したから途中で投げ出せない」と前回知事選に立候補表明した。ある都幹部は「招致に失敗すると3期目の最大テーマが消える。意欲が保てないのでは」と言い、自民都議も「最下位で落選したら求心力が落ち、もたないかもしれない」と気をもむ。

 五輪と自らの進退について石原知事は10日の記者会見で「勝ち方負け方の問題だろうね。結果見ないと分かりません」と思わせぶりだ。

 逆に、招致が成功したら辞めるという「五輪花道説」もある。「3期目に明るい話題は残っていない。招致を決めて身を引けば、檜(ひのき)舞台を次の知事に譲るという美しさを示せる」と話す都幹部もいる。

 もう一つ、可能性は低いとみられるが、7月12日の都議選が引き金になるという「都議選危機説」がある。

 定数127のうち、現在、与党の自民、公明の議席は70。しかし、民主が躍進し、共産を含めた野党議員が過半数を占めれば、これまで順調だった議会運営にブレーキがかかる。「民主党が比較第1会派になったら、知事は頭を下げられるだろうか」。今から気をもむ都幹部までいる。

 一方で、知事本人が「絶対にありません」と全面否定している11年知事選への「4選立候補説」もある。

 民主党内では次期知事候補として都連会長の菅直人氏の名前が取りざたされている。一方、過去2回の知事選で石原知事を支えた自民党に候補擁立の動きはない。同党内ではむしろ、「続投してほしい」という声さえある。

 元自民党都議の山崎孝明・江東区長は昨年、「とんでもないやつが出てきたら都政が壊される」と心配する知事に、「また出ればいい。庁内も引き締まる」と水を向けた。石原知事の反応は、「もう十分。勘弁してくれ」と笑ったままだったという。(別宮潤一、野村雅俊)

by yupukeccha | 2009-04-11 15:00 | 行政・公務員  

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