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蚊の発生抑えて感染症対策

2月4日14時32分配信 医療介護CBニュース

 感染症を媒介する蚊に悩まされ続けてきた東京都立松沢病院(世田谷区)が、QC(業務改善、効率化などの取り組み)サークル「モ好キート隊」を発足させ、蚊の発生の抑制に取り組んでいる。同病院の敷地内、周辺は自然が豊かで、建物内にまで入って来る蚊に一年中悩まされていたが、ハーブや銅イオンを利用するなどして、発生を抑えることに成功した。昨年は院内22か所の雨水升でボウフラが確認されていたが、4か所にまで減ったという。2月2日、東京都庁で開かれた発表会「改善提案2009~医療現場での取り組み~」(東京都病院経営本部と東京都保健医療公社の共催)で、同サークルが成果や課題などを報告した。

 同病院の敷地は約6万坪。雑草が多い、池がある、至る所に水たまりができやすいなど、蚊が発生しやすい条件がそろっている。病院の建物内では、煙の出る蚊取り線香などを使うこともできないため、患者も医療スタッフも悩まされていたという。

 蚊はデング熱、フィラリア、マラリア、ウエストナイル熱など人命を脅かす感染症を媒介するが、地球温暖化やヒートアイランド現象などによって、生息域が拡大しているという。国内でも、アカイエカによる日本脳炎の媒介が知られている。同病院では、蚊の発生を抑えることは「感染管理の観点からも重要な課題」と考え、昨年4月、看護部内で同サークルを結成。「雨水升の水質管理」「水たまりの撲滅」「ハーブ育成」の3つの作戦で発生防止に取り組んだ。

 雨水升の水質がアルカリ性であれば、ボウフラが発生しにくくなるため、銅イオンが発生する10円硬貨などを使ってphを6-7に保った。蚊は水に卵を産んでから1-2週間で成虫になってしまうため、水質は2週間ごとに検査した。水質管理を半年間実施した後、看護職員331人にアンケートを取ったところ、「雨水升からの蚊の発生を見たか」との問いに対し、85%が「見ていない」、15%が「見た」と答えた。「蚊の発生が抑えられたと思うか」との問いには、45%が「思う」、55%が「思わない」と回答した。

 敷地内の水たまりができそうな所も徹底的にチェックした。竹は、水がたまらないように短く切った。また、プラスチックの皿や空き缶などにも水がたまるため、2週間ごとに巡回して拾った。

 さらに、蚊が嫌うミント、レモンバーム、アップルミント、バジル、カモミールなどハーブ植物を購入し、各病棟に10株ずつ配布した。1つだけだった看護部用の畑も8つに増やし、敷地内で自生しているハーブを栽培した。

 同サークルでは「水質管理によって雨水升からの蚊の飛び立ちは減少していることが分かったが、蚊による被害を防止するまでには至らなかった。全病棟の庭を埋め尽くすようにハーブを育て、さらに抑制効果を上げていきたい」としており、今後も対策を強化していく方針だ。

 2日の発表会では、会場から「ハーブ栽培を患者の作業療法に取り入れてみてはどうか」などの意見が出た。

【雨水升】
 降った雨を排水管に流す前にためておく所。網のふたが付いていることが多い。

by yupukeccha | 2009-02-04 14:32 | 社会  

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